著者
木村 主幸 葛西 扶美夫 有澤 準二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.124, pp.95-100, 1997-06-20
参考文献数
24

磁場の生体影響を検討する目的で、一定時間静磁場内で培養した細胞のヘルペスウィルスに対する感染性の変化について検討した。その結果、細胞を4時間磁場内で培養するとその後のウィルス感染に対して抵抗性を示す因子の出現を誘発する可能性が示唆された。具体的には、アフリカミドリザルの腎臓細胞由来である Vero-BV細胞を4時間450mTの静磁場内においた後、この細胞に単純ヘルペスウィルスを感染させると磁場暴露を受けた細胞がその後のウィルス感染に対してさほど強くはないが抵抗性を示すことが確認された。また、この抵抗性は磁場暴露を受けた細胞そのものよりもこの細胞を培養していた培養液中に存在することが判った。これらの知見は、磁場暴露が細胞に対して抗ウィルス性の液性因子産生を誘発する可能性を示したものと考えられる。
著者
趙 希鵬 菅原 俊継 黒田 聡 有澤 準二 木村 主幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.406, pp.21-24, 2006-11-28
被引用文献数
4

フィトンチッドは、樹木が産生する殺菌性物質として従来から知られている。フィトンチッドの主成分は、いわゆるヒノキチオール(β-ツヤプリシン)と呼ばれる化合物で近年その殺菌作用や消臭効果などが注目され、フィトンチッドを含有した製品が次々と発売されている。しかし、その基本的な殺菌・抗菌作用機序についての科学的な裏付けや実験的検証がほとんどなく、効果の事例のみが先行しているのが現状である。我々は、ヒノキチオールを主成分とするフィトンチッド剤NSPP08を用いて本剤の殺菌・制菌効果について実験した実験に供したフィトンチッド剤は、それほど強力ではないが一定の殺菌力を有することを確認した。これに対して各種細菌の発育を抑制する効果については、含有フィトンチッド成分の換算値で8ppm程度を含有させるだけで制菌効果を示すことがわかった。また、本剤の殺菌機序を解明する目的で黄色ブドウ球菌の表層抗原を検出する検査キットであるスタフィロLAを用いてフィトンチッド処理後の表層抗原の変化を観察したが、明瞭な変化を観察できなかった。
著者
澤口 裕太 福永 優 高橋 範行 木村 主幸 三澤 顕次 有澤 準二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.596, pp.5-8, 2003-01-17
参考文献数
11

我々はこれまでに金魚を対象に極低周波数磁場の生体影響について検討し,50 Hz磁場を曝露すると体色変化や尿排泄量の増加など,様々な生体反応が生じることを確認してきた。本報では,尿排泄量の増加が誘導電流に起因しているかどうかを確認するために,50 Hz 62 mT磁場で発生する誘導電流と同等の交流電流を金魚に通電し,尿排泄量の変化を観察した。その結果,磁場曝露と同様に金魚の尿排泄量が増加した。さらに,誘導電流は磁場の周波数と比例関係にあることから,周波数に対する尿排泄量の変化について観察し,50Hz磁場では尿排泄量が増加し,逆に10 Hz磁場では尿排泄量が減少する傾向を確認した。これらのことから,金魚の尿排泄量の変化が誘導電流に起因すること見出した。
著者
金 安植 有澤 準二 三澤 顕次 木村 主幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.441, pp.37-44, 1996-12-21
参考文献数
10
被引用文献数
4

本報では変動磁場による金魚の行動と体色に及ぼす誘導電流の影響について検討を行つた。具体的には、これまでに報告している150mT静磁場と62mT、10, 30, 50, 70Hz磁場の曝露影響を踏まえ、ここでは70Hz, 62mT磁場の金魚の遊泳行動に不統一な影響が周波数そのものの影響か、または磁場強度による誘導電流の大きさによるものかを確かめるため、磁場強度を26mTに低下させ、行動観察を行った。その結果、磁場曝露期間中の金魚の遊泳行動に抑制が観察された。その一方で、曝露後の金魚に体色の変化が見られ、この原因が誘導電流にあるのではないかと考えられたため、金魚の形に近い楕円回転体モデルから誘導電流を試算した。また、その誘導電流値と同値の交流電流を金魚に流し、その体色変化を観察した。さらに、150mT静磁場での金魚の行動が亢進された原因についても詳しく検討した。
著者
今野 誉人 岸田 茂也 木村 主幸 三澤 顕次 有澤 準二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.98, no.400, pp.13-18, 1998-11-17
参考文献数
8
被引用文献数
2

これまでに我々は、ELF帯の磁場による生態影響として金魚の体色変化を確認してきた。本報では、体色変化と変動磁場による誘導電流の大きさとの関係を検討するため、商用周波数である50Hz、62mT曝露時に金魚に発生する最大誘導電流密度と、この2倍及び3倍の値と等価な交流電流を金魚に通電した。その結果、電流値が大きくなるにつれて短期間で体色変化が現れることがわかった。また、電流値が大きいと曝露後に体色変化から復帰するものが少なく、その後短期間で死亡する傾向が見られた。この傾向を確認するため、50Hz、62mTの磁場を金魚に曝露したところ、曝露しない金魚よりも、曝露した金魚では明らかに、生存期間が短くなることが判明した。
著者
澤口 裕太 木村 主幸 菅原 俊継 三澤 顕次 有澤 準二
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.384-389, 2004-12-10 (Released:2011-09-05)
参考文献数
17

Although many studies have been conducted in relation to the biological effects of extremely-low frequency (ELF) magnetic fields, there is little agreement as to their total effects on living organisms. Related to this, we are concerned with the viral infection system; consisting of viruses and cells, and the following infection process: (1) absorption, (2) penetration, (3) synthesis of viral components, (4) maturation, and (5) release. This system enabled us to observe the effects of ELF magnetic fields more easily than using experimental animals. We divided these five steps into two groups. The first group is called the absorption period, which includes steps (1) and (2). The second group is called the proliferation period, which includes the remaining steps. In this investigation, we compared the two groups from the viewpoint of the effects when they were exposed to a 50Hz 62mT magnetic field. As a result, the 50Hz 62mT magnetic field inhibited the growth of the virus as compared to sham exposures. When either the absorption period or the proliferation period was exposed to the 50Hz 62mT magnetic field, growth was inhibited as well. It was clearly proven that the 50Hz 62mT magnetic field has an inhibitory action on viral infections, and the action can be observed throughout all processes in the viral infection system.
著者
菅原 俊継 海老川 慎 木村 浩一 木村 主幸 三澤 顕次 有澤 準二 五十嵐 治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.350, pp.67-72, 2000-10-06
被引用文献数
4

本報では, 遺伝子診断において最も重要とされている遺伝子抽出の全く新しい方法を提案した.まず, 中空糸膜の表面に金属を被覆した導電性中空糸膜を用いてウイルスの濃縮を行った.その後, 化学的にウイルス被膜を溶解し, 中空糸膜を負の電極として電気泳動を行うことによって電気的にウイルス遺伝子を抽出した.その結果, 濃度が5×10^4個/mlであるウイルス浮遊液から標的遺伝子が抽出された.この抽出法の最大の特長は, 膜によってウイルスの濃縮が迅速にできることである.また本遺伝子抽出法では, 膜の他に必要な装置は電源とポンプのみで, 人手による操作や処理が少ないことから, 自動化の可能性も有している.