- 著者
-
菅原 信
- 出版者
- 公益社団法人 日本皮膚科学会
- 雑誌
- 日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
- 巻号頁・発行日
- vol.88, no.4, pp.293, 1978 (Released:2014-08-22)
アトピー性皮膚炎(思春期乃至成人期)患者24例および対照健常人15例に対し,モの末梢血リンパ球膜表面免疫グロブリン (IgG, IgA, IgM および IgE)保有率ならびに血清 lgE 値を測定すると共に,膜表面 lgE 保有リンパ球陽性率と血清 lgE 値との相関を検討した. 1)末梢血リンパ球膜表面 IgG, IgA および lgM 保有率は,アトピー性皮膚炎患者群と対照群との間に有意の差を認めなかったが,膜表面 lgE 保有リンパ球陽性率は有意の差 (p<0.01) をもってアトピー性皮膚炎患者群に高かった. 2)血清 lgE値も:アトピー性皮膚炎患者群に p<0.01 で有意に高値を示した. 3)全例(39例)の膜表面 lgE 保有リソパ球陽性率および血清 lgE 値(対数値)間の相関を検討し,両者間に相関係数 (r)=0.57 なる結果を得た. r = 0.57 は p<0.01, 症例数39 (n=37) に於いて有意義であり,膜表面lgE保有リンパ球陽性率と血清 lgE 値(対数値)の間には有意義な相関があるといえる. すなわち,この結果は本症に於いて活性化 lgE 産生 B-cell の増加を間接的に証明するものと考える.以上から,血清 lgE 値の検索と並んで末梢血リソパ球膜表面 lgE 保有率の検索が本症の発症機序解明のi n vitro の手段として今後さらに必要となると思われた.