著者
大森 肇 渡邉 彰人 大山 卞圭悟 佃 文子 高橋 英幸 久米 俊郎 白木 仁 岡田 守彦 板井 悠二 勝田 茂
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.385-392, 2000-06-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
15

本研究では1週間に1日という低頻度で5週間のみの筋力トレーニングを行った結果, 筋力の増加がみられた.また筋力トレーニングによって獲得された筋力は17週間の脱トレーニング後でも維持されていることが示唆された.さらに再トレーニング脚と対照トレーニング脚を比較した結果から, 再トレーニングによる筋力増加応答の増強 (Nerve-Muscle Memory) が観察された.これらの現象がiEMGの変化様相と一致していたことから, これらの背景にあるメカニズムが神経系の要因 (運動単位動員の変化ならびにインパルス発射頻度の変化) によるものであると考えられた.
著者
崔 鳥淵 高橋 英幸 板井 悠二 高松 薫
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.119-129, 1998-02-01 (Released:2010-12-10)
参考文献数
21
被引用文献数
8 8

本研究では, 筋力トレーニングにおける一般的な手段であるパワーアップ型手段とバルクアップ型手段の筋の形態および機能の面からみたトレーニング効果の相違を, 膝伸展運動による週2回, 8週間のトレーニング実験を通して比較検討した.被検者には, 健常な一般成人男子11名を用いた.パワーアップ型群 (5名) には, 1RMの90%の負荷で5セット行わせた.セット間には3分間の休息をとらせた (レペティション法) .一方, バルクアップ型群 (6名) には, 1RMの80~40%の負荷で9セット行わせた.セット間には30秒~3分間の休息をとらせた (インターバル法・マルチパウンデツジ法) .おもな結果は次の通りである.1.大腿四頭筋全体および大腿四頭筋を構成する各筋の筋断面積の増加率は, いずれもバルクアップ型群がパワーアップ型群より有意に高い値を示した.2.1RM, 等尺性最大膝伸展力および等速性最大膝伸展力 (角速度, 60・180・300deg/sec) の増加率は, 実測値および筋断面積あたりの相対値ともに, パワーアップ型群がバルクアップ型群より高い値を示した.このうち, 1RMの実測値, 60deg/secの角速度による等速性最大膝伸展力の実測値を除くすべての項目に有意差が認められた.3.等速性平均膝伸展力 (角速度, 180deg/sec; 試行回数, 50回) の増加率は, 実測値および筋断面積あたりの相対値ともに, バルクアップ型群がパワーアップ型群より有意に高い値を示した.また, 連続50回にわたる等速性膝伸展力の低下率は, トレーニングが進むにつれてバルクアップ型群では小さくなるのに対して, パワーアップ型群では顕著な変化は認められなかった.上述の結果は, パワーアップ型手段はおもに筋力・無気的パワーの増大に, バルクアップ型手段はおもに筋肥大および無気的持久力の増大にそれぞれ有効であることを示すものである.これらの結果は, 筋力トレーニングでは, 特性の異なるパワーアップ型手段とバルクアップ型手段を, 各人の目的に即して適切に使い分けることが重要であることを示唆するものである.
著者
豊川 裕之 草間 朋子 板井 悠二
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

体脂肪量を超音波皮脂厚計によって、被計測者に侵襲を与えることなく、推定する方法の確立を図っている。その推定値の誤差を規定するために、【^(40)K】計測法(ヒューマン・カウンタ法)とNMR診断法の人体断面像から脂肪量を推定する方法を基準として、超音波皮脂厚計法の推定誤差が約5%以内であることを明らかにした。NMR画像はまだイメージスキャナーで面積計算ができないので、目下、PC98型コンピュータで処理するソフト・ウェアの開発中である。したがって、【^(40)K】計測値だけを較正値として超音波皮脂厚法の誤差を算定した。その算定に用いた資料は、【^(40)K】法の68名(男34名,女34名)、超音波皮脂厚法の68名(【^(40)K】と同じ対象)の7ケ処の計測値である。なお、NMR画像は7名分の資料が得られている。体脂肪量;F(kg)=【α_1】・【X_1】+【α_2】・【X_2】+【α_3】・【X_3】+……+βただし、【α_1】,【α_2】,【α_3】・・・:性・・年齢別に推定される定数β:【α_1】・【α_2】・・に同じ【X_1】,【X_2】・【X_3】・・・:各部位C1,2,3,・・・)の皮脂厚値である。これに、性・年齢別に実測値を用い、(1)【^(40)K】計測値に近似させる、(2)変量(X)の数をなるべく少くすることを条件として検討した結果男性:F(kg)=0.556(上腕部皮脂厚)+0.094(腹部皮脂厚)-7.961(推定誤差:4.4%)であることがわかった。女性(30歳以下,30歳より上にわけた)についても2変量で約5%の推定誤差で推定できることがわかった。今後は、例数をふやし、性・年齢別の体型の変化にも注意を払った推定式を目標に改善を続けたい。
著者
崔 鳥淵 高橋 英幸 板井 悠二 高松 薫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.119-129, 1998-02-01
参考文献数
21
被引用文献数
2 8

本研究では, 筋力トレーニングにおける一般的な手段であるパワーアップ型手段とバルクアップ型手段の筋の形態および機能の面からみたトレーニング効果の相違を, 膝伸展運動による週2回, 8週間のトレーニング実験を通して比較検討した.被検者には, 健常な一般成人男子11名を用いた.パワーアップ型群 (5名) には, 1RMの90%の負荷で5セット行わせた.セット間には3分間の休息をとらせた (レペティション法) .一方, バルクアップ型群 (6名) には, 1RMの80~40%の負荷で9セット行わせた.セット間には30秒~3分間の休息をとらせた (インターバル法・マルチパウンデツジ法) .<BR>おもな結果は次の通りである.<BR>1.大腿四頭筋全体および大腿四頭筋を構成する各筋の筋断面積の増加率は, いずれもバルクアップ型群がパワーアップ型群より有意に高い値を示した.<BR>2.1RM, 等尺性最大膝伸展力および等速性最大膝伸展力 (角速度, 60・180・300deg/sec) の増加率は, 実測値および筋断面積あたりの相対値ともに, パワーアップ型群がバルクアップ型群より高い値を示した.このうち, 1RMの実測値, 60deg/secの角速度による等速性最大膝伸展力の実測値を除くすべての項目に有意差が認められた.<BR>3.等速性平均膝伸展力 (角速度, 180deg/sec; 試行回数, 50回) の増加率は, 実測値および筋断面積あたりの相対値ともに, バルクアップ型群がパワーアップ型群より有意に高い値を示した.また, 連続50回にわたる等速性膝伸展力の低下率は, トレーニングが進むにつれてバルクアップ型群では小さくなるのに対して, パワーアップ型群では顕著な変化は認められなかった.<BR>上述の結果は, パワーアップ型手段はおもに筋力・無気的パワーの増大に, バルクアップ型手段はおもに筋肥大および無気的持久力の増大にそれぞれ有効であることを示すものである.これらの結果は, 筋力トレーニングでは, 特性の異なるパワーアップ型手段とバルクアップ型手段を, 各人の目的に即して適切に使い分けることが重要であることを示唆するものである.

1 0 0 0 OA 血流と肝画像

著者
板井 悠二 松井 修
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.301-310, 1998 (Released:2008-02-26)
参考文献数
39
被引用文献数
1

肝臓は肝動脈と門脈の二重支配を受ける極めてユニークな臓器である. 肝画像は造影剤を用いることにより血流の影響を大きく受けざるを得ず, 肝画像の進歩は血流解明の歴史ともいえる. 合理的な造影検査の開発, 肝腫瘍の診断, 治療に血流の知識は不可欠なばかりか, 血流も意識した肝画像は肝血管の生理と病理(解剖, 破格, 吻合, 閉塞時病態生理など), 肝細胞癌の多段階発生に幾多の新しい知見をもたらした. 更に瀰漫性疾患にあっても脂肪肝のsparing, focal fat depositに血流が本質的な役割を果たしていることが示されている.