著者
菅原 渉 河野 澄夫 太田 英明
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.3-9, 1987-03-20 (Released:2011-05-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

生栗の6カ月以上の長期貯蔵を目的に低温貯蔵試験を行った。1. 1℃ポリエチレン包装区は, カビ・萌芽等の不良果の発生が6カ月貯蔵でも6%と少なかった。一方, 5℃以上の貯蔵区は不良果の発生が甚しく, 5℃貯蔵でも3~4カ月が貯蔵限界であった。2. 貯蔵中, シヨ糖含量の増加と澱粉含量の減少が認められた。この現象は低温貯蔵区ほど著しかった。このショ糖含量の増加により官能評価において高い評点が得られた。3. 総フェノール含量, 硬度, 色調, 官能評価等の測定項目においても, 1℃区 (PE) での貯蔵中変化は, 5℃以上の貯蔵区に比べ際立って少なかった。以上より, 1℃, PE貯蔵により6カ月以上の長期貯蔵が可能であると考えられると同時に, 貯蔵に伴うシヨ糖含量の増加による甘味の改善という副次的効果が確認された。