著者
菊池 修平
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.15-20, 1988-02-29 (Released:2011-05-20)
参考文献数
12

It is reported that little bromate is left in bread after potassium bromate has been broken down by heat treatment. But not only the methods employed for measuring bromate so far are not the same, but also many kinds of bread have been used than and there.So, using a loaf of commercial bread (3 pound of bread) and a roll bread made under the same condition, the remain of bromate in each kind of bread was measured by Ion Chromatography. When potassium bromate added is less than 50 ppm in a pullman bread, less than 90 ppm in a mountain bread, less than 60 ppm in a roll bread, bromate was broken out and not detected. When the remain of bromate could be detected, they decreased in proportion to the amount of potassium bromate added.It is reported that 10-15 ppm of bromate is added to bread by bread manufacturers. As a result, it is confirmed that no bromate is left in a loaf of bread and a roll bread made and sold by manufacturers.
著者
辻村 卓 荒井 京子 小松原 晴美 笠井 孝正
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.35-40, 1997-01-25 (Released:2011-05-20)
参考文献数
14

冷凍あるいは凍結乾燥処理を施した食品中のビタミンおよびミネラルについて実験した。いも2種類野菜11種類を実験試料とした。適当な大きさに切断した試料をブランチング処理後, これらに冷凍および凍結乾燥処理を施し, 以後12カ月間にわたり水分, カロチン, B1, B2, ナイアシン, ビタミンCについて分析を行い, 冷凍および凍結乾燥後の冷蔵保存が各試料中の栄養成分の残存とどのような関係になるかを検討した。(1) ブランチング処理試料についてはカロチン, B1, ビタミンCについて分析を施した。西洋かぼちゃは新鮮試料と比較してB125%, ビタミンC30%を減少させた。しゅんぎくはB115%, ビタミンC30%を失った。カロチンは一定量を示した。(2) 12ヵ月間-24℃に保存した冷凍試料の場合, 水分は変動がない。カロチン含有量が減少したものはさつまいも, チンゲンツァイ, わらびなどであった。 B1, B2, ナイアシンは分析の結果減少を認めなかった。ビタミンCはえんどう (グリーンピース), しゅんぎくで減少した。(3) 12ヵ月間冷蔵庫中に保存した凍結乾燥試料の場合, 水分の変動はなかった。カロチン含有量はアスパラガス, さやえんどう, 西洋かぼちゃ, キャベツ, しゅんぎく, チンゲンツァイ, にんじん, わらびなどで減少した。B1, B2, ナイアシンでは減少を認めなかった。ビタミンCはアスパラガス, さやえんどう, キャベツで減少を認めた。本実験の研究費の一部はビタミンC研究委員会からの援助によるものである。
著者
内野 昌孝 内村 泰 駒形 和男
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.161-167, 1999-08-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
3

さまざまな種類の細菌を純水中で低温・常温両条件下で保存し, 保存前後の菌数を測定することで微生物の水中での生残性を確認した。乳酸菌や納豆菌を含む10属30種, 44株を用いて保存1年後に菌数を計測した。生残菌数については, ほとんどの菌株で102~104のオーダーで減少はみられるものの, 死滅せず生残が確認された。さらに, 微生物の種類により, 生残しやすい温度領域のあることが明らかとなった。以上のことから, 腐敗菌のみならず多くの菌株が食品保蔵中で不活性化した状態で存在できることが明らかとなった。食品中で各種の細菌が常在していることから保存の長期化が進む今日, 細菌の存在と殺菌等を考慮しなければならないと考える。
著者
王 洪剛 弦間 洋 大垣 智昭
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.89-94, 1988-09-10 (Released:2011-05-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

スモモ果実'大石早生'のチルド貯蔵における最適貯蔵温度や低温障害の有無を明らかにする資料を得ることを目的として本研究を行った。その結果, 低温障害の発生が認められたので, その様相を明らかにし, 発生機構に考察を加えた。(1) 7℃で貯蔵3週間後には果実が軟化して商品性を失った。-1℃貯蔵では貯蔵25日以後になると低温障害を起こして貯蔵性がなくなった。一方, 0℃貯蔵では貯蔵40日後までは果実が全般的に良好であり, 7℃貯蔵に比べて貯蔵期間がほぼ2倍に延長された。すなわち, スモモ果実の最適貯蔵温度は0--1℃の温度域にあると考えられたが, -1℃では低温障害を起こす恐れがある。(2) 7℃で貯蔵では果実の追熟に伴うACCの蓄積があり, それがEFEによってエチレンに変換されるのに対して, 0℃以下の貯蔵ではEFE活性は7℃貯蔵に比べても十分認められたが, 組織内のACC含量が少なかった結果としてエチレン生成が少なかったものと考えられた。また, 貯蔵中におけるEFE活性はいずれの貯蔵温度でも低下した。(3) K+漏出速度におけるアレニウスプロットを求めたところ, break温度は-0.9℃であり, 低温障害の臨界温度とほぼ一致した。スモモ果実を-1℃に貯蔵すると, 25日経過後に明らかな低温障害がみられた。症状は果肉にまず白斑点が現れ, 次第に褐変軟化するものであった。電解質漏出速度の急増は白斑点発生との前後関係については明らかではなかったが, 褐変発生前に現れた。また, 白斑点の発生前に総フェノール物質の顕著な増加が認められた。
著者
上田 悦範
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.41-45, 2002-01-31 (Released:2011-05-20)
参考文献数
20
被引用文献数
3
著者
松山 惇 渡辺 学 林 憲一朗 江澤 真 清澤 功 長澤 太郎
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.24-29, 1993-03-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
20

80℃, 30分間殺菌した豆乳にLactobacillus bulgaricus, Streptococcus thermophilusおよびBifidobacterium longumを混合接種して調製した発酵豆乳および発酵植物油添加豆乳ならびに市販プレーンヨーグルトを10日間冷温保蔵 (5℃) し, 48時間ごとにpH, 酸度, 乳酸菌およびビフィズス菌の生菌数およびホエー量を測定した。発酵豆乳および発酵植物油添加豆乳では, 日数の経過とともにpHは低下し, 酸度が上昇した。乳酸菌数は, いずれも減少傾向を示したが, 10日間保蔵で生菌数107以上を確保することができた。また, B.longumは, 10日間保蔵で108の菌数を保持した。ホエー量は, 保蔵日数の経過とともに, いずれもわずかに増加したが, ヨーグルトより少なかった。次に, 殺菌温度 (80℃, 90℃, 100℃, 30分間および121℃, 15分間) の異なる豆乳を用いて, 発酵豆乳および発酵植物油添加豆乳を調製して冷温保蔵した。その結果, 90℃, 30分間加熱の発酵豆乳は, 0日目のpHが最も高く, 酸度が最も低かったが, 冷温保蔵時にはその変化が, 最も大きかった。生菌数は, いずれの殺菌温度で冷温保蔵によって減少傾向を示したが, 10日間冷温保蔵で107以上を保持した。ホエー量は, いずれの発酵豆乳も殺菌温度が低いほど多かったが, ヨーグルトより低値であった。なお, 植物油添加の有無による差異はとくに認められなかった。
著者
弥中 和憲 石橋 憲一 小疇 浩 小林 祥則 森 元幸 津田 昌吾 高田 明子
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.9-14, 2005
被引用文献数
4

3品種の国産加工用ジャガイモを5および12℃で90日間貯蔵し, インベルターゼ, スクロース-6-リン酸シンターゼ (SPS) およびUDP-グルコースピロホスホリラーゼ (UGPase) 活性を測定した。この研究の目的は, それらの3酵素に及ぼす貯蔵温度の影響の検討である。5℃貯蔵のジャガイモは12℃に比べ多くの還元糖を蓄積した。さらに, 低温 (5℃) はインベルターゼおよびSPSは活性を増加させた。これらのことより, 加工用ジャガイモの低温における還元糖増加に, この2つの酵素は重要な役割をになっているものと推察された。
著者
真部 孝明 大友 譲二
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
食品と低温 (ISSN:02851385)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.113-117, 1984-11-20 (Released:2011-08-17)
参考文献数
5
被引用文献数
1

シュガータイプのスイートコーン “ハニー・バンタム・早生200” の性状と貯蔵に伴う品質変化を調べたところ, 次のような結果を得た。(1) 穂の各部位ごとの粒の性状を調べたところ, 頂部, 中央部および基部の3部位で, デンプン含量に差はなかったが, 水分は頂部に向う程多く, AISも頂部が多かった。1粒重は基部が最も大きく, ついで中央部であったが両部部位の差は余りなく, 頂部は両者の約1/2で小さかった。全糖は中央部が多かった。(2) 20個体を用いて, 水分, 全糖およびデンプン含量を測定し, これら3者間の相関を検定したところ, お互の間に有意の相関が認められなかった。(3) 午前6時, 12時および午後6時の3回に分けて収穫し, 全糖デンプン, AIS, 水分や硬度などを分析したところ, 収穫時間による差はほとんどなかった。(4) 貯蔵温度が低いと貯蔵中におけるデンプンの増加や全糖の減少は少なかったが, 室温 (25-30℃) でも1日後1%, 2日で1.5%程度の全糖の減少しかなく, 本品種は収穫後品質が劣化しにくい品種であることが分った。
著者
太田 英明 與座 宏一 中谷 明雄 椎名 武夫 井尻 勉 石谷 孝佑
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.106-111, 1991-10-15 (Released:2011-05-20)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

低密度ポリエチレン (LDPE) の30μmおよび50μm厚を対照にして, 市販の「機能性フィルム」6種類のエチレン透過性を簡易なパウチ法とLyssy法で, また窒素・酸素・二酸素, 二酸化炭素透過性もLyssy法で測定し, 併せて20℃の貯蔵条件下で個別包装したプロッコリーの品質安定性を検討した。1) エチレン, 酸素, 二酸化炭素ともガス透過性の高いフィルムは, EVAフィルム, 無機多孔質混入フィルム1種類および対照のLDPE (30μm) であった。代表的な無機多孔質混入フィルムのエチレン透過性は, LDPE (50μm) とほぼ同じ値であった。2) 簡易法とLyssy法で得られたエチレン透過性の値はほぼ同程度であり, 本簡易法が有用であることを示した。3) エチレン, 酸素等の透過性の高いフィルムが, 貯蔵中におけるブロッコリーの異臭の発生が少なく, 総合的な官能評点も他のフィルムより高かった。以上の結果から, 市販「機能性フィルム」のエチレン透過性とブロッコリーの品質安定性をガス透過性との関連で考察した。
著者
ロンポパック テラヌード シリパニ ジンタ 上田 悦範 阿部 一博
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.3-8, 2005-01-31 (Released:2011-05-20)
参考文献数
10

バナナ (Sucrier) における棚持ち期間の延長を目指して, 低酸素処理の方法を検討した。追熟処理の後, 果色が緑色に黄色を帯びた段階 (ステージ3) で低酸素処理を行った。5%酸素の調整ガス下および48時間窒素ガス処理では, 3-4日の棚持ち期間を有する空気下に比べて1-2日その期間が延びたに過ぎなかった。ポリエチレン袋 (厚さ0.03mm) を使い24, 48時間窒素ガス封入したところ5-6日まで棚持ち期間を延長できた。内容成分である糖の増加は外観にかかわりなく, 順調に増加した。24時間ポリエチレン袋に窒素ガス封入の後, さらにポリビニールクロライドフィルムでラップするとさらに棚持ち期間を9-11日まで延ばすことができた。
著者
阿知波 信夫 片寄 政彦 阿部 一博
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.341-346, 2003-12-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
28
被引用文献数
6 9

強酸性電解水を利用したカットキャベツの実用的な殺菌処理方法を確立した。カットキャベツの処理量に対する処理水量の比率および処理時間を, 従来の殺菌剤である次亜塩素酸ナトリウム水処理と比較して同等の殺菌効果となる条件を明らかにした。続いて強酸性電解水と次亜塩素酸ナトリウム水で処理後のカットキャベツ中のトリハロメタン量を経時的に測定したところ, 次亜塩素酸ナトリウム水処理では保存72時間後までほぼ一定して0.05mg/kgのクロロホルムが検出し続けたのに対し, 強酸性電解水処理では直後でも不検出であった。官能試験 (パネラー30名) では次亜塩素酸ナトリウム水処理直後臭いや食味に問題ありと判定した人が半数以上いたが, 強酸性電解水処理では直後でも異常ありと判定した人は1名以下であった。また, 次亜塩素酸ナトリウム水処理では放置60分後には臭いや食味で異常ありと判定した人は2名以下となった。つまり, トリハロメタンは残存していたにもかかわらず, 臭いや食味では異常を感じないということが判明した。強酸性電解水処理ではトリハロメタンの生成もなく, 消費者へ提供する直前に食品を処理しても臭いや食味にほとんど異常を与えない点からも, 有効な処理方法であるといえる。
著者
陶 慧 鈴木 功
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.329-334, 2003-12-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
17

食パンの水分活性値について, パンの水分量, 水分吸脱着履歴, 測定温度を変化させることにより, いくつかの方法で測定した。試料は市場に広く普及している大手製パンメーカー製の一般的な食パンを使用した。水分の吸脱着履歴として, 吸着試料は新鮮なパンを五酸化ニリンで脱水後, 調湿塩により一定の湿度に保持したデシケーター内で水分を吸着させ, また脱着試料は, 試料の構造変化のないよう注意しながら通気乾燥法およりシリカゲル乾燥で緩やかに脱水させた。両試料とも水分の調整後, 暫時密封保持し試料内の水分分布を均一化させてから測定に用いた。水分活性の測定は, 半導体センサーによる測定, 平衡重量測定法, PEC法の3種類の方法を用いた。測定は, 温度10, 20, 30, 40℃, 水分含量0~48%, 水分活性0~1の範囲で行った。その結果, 比較的広範囲で明確な履歴現象 (hysteresis) が得られたのは, 平衡重量測定法であった。また, 高水分活性域ではPEC法がよい結果となった。半導体センサーによる測定は迅速簡便に行えるが, 吸脱着履歴など精密な測定には不向きであった。得られた値を用いて, 吸着理論式の適合性を評価した。用いた式は, GAB式, D-A式である。両者とも比較的よい適合性を示す結果となった。
著者
宮村 英宏 竹中 陽子 竹中 哲夫
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.37-44, 1998-01-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
19

納豆菌でおからを発酵し, おからとは異なった風味や特性を有する食品素材を得ることを目的とし, 納豆菌発酵おから (おから納豆) を調製し, その成分, 組織ならびに物理的特性の変化について調べた。(1) おから納豆は, 遊離アミノ酸, 遊離脂肪酸, 無機リンは増加し, 食物繊維量は減少した。遊離アミノ酸では, ロイシン, フェニルアラニンが多く, 食物繊維では, ペクチンが増加し, シュウ酸塩不溶画分中のヘミセルロースが減少した。(2) 納豆菌数は発酵5時間から10時間にかけて急激に増大し, 品温は発酵15時間で50℃に達した。プロテアーゼ活性が高まるにつれて窒素分解率も増加した。また, 発酵15時間以後の生成アンモニア量は急増し, pHも急増した。発酵30時間後pHは8.2であった。(3) 走査型電子顕微鏡によるおから組織の観察で, 24時間発酵後のおから納豆では, 大豆細胞壁が完全に崩壊していることが確認された。また, 発酵時間が長くなるにつれ崩壊性が高まり, 10ミクロン以下の粒子が増加した。(4) おからを納豆発酵しても人工消化率は変化なかった。しかし, おから本来の吸水性および吸油性は損なわれず, 乳化性および乳化安定性は増加した。
著者
多々良 泉 辻 聡宏 御厨 初子 田中 政信 劉 蚊艶 小島 孝之 太田 英明
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.15-20, 1999-01-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
13
被引用文献数
8 4

遠隔地からのイチゴは輸送振動による品質低下が指摘されている。そこで, 実輸送中に発生する振動を測定し, その振動がイチゴの呼吸速度および品質に及ぼす影響について検討した。振動を与える前のイチゴの呼吸速度 (CO2排出量) は5℃下で約30mg/kg/hr, 15℃下で約70mg/kg/hrであったが, 振動を与えるとそれぞれ50および84mg/kg/hrまで上昇した。また, 振動を止めると呼吸速度は減少し, 約1時間後には振動前とほぼ同等の値まで低下した。振動を与えたイチゴの外観品質は, 振動を与えなかったものより評点は低かった。また, 貯蔵温度の影響も大きく5℃で保持した方が15℃保持より評点は高かった。果皮の貫入抵抗値は振動を与えたイチゴの方が振動を与えなかったものより低く, 貯蔵温度では5℃のほうが15℃より高い値を示した。可溶性固形分, 滴定酸度及び全ビタミンC含量の内容成分は振動の有無, 貯蔵温度による差異は認められなかった。
著者
韓 雲哲 真谷 歩 ンキヤ エリーネ 林 信行 藤田 修二
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.275-281, 2006-11-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1 6

ゴボウの抽出液の褐変反応中のスペクトルの特徴からクロロゲン酸或いはその同族体の酸化反応が酵素的褐変の主原因であることが示唆された。クロロゲン酸を基質としてゴボウのポリフェノール酸化酵素 (PPO) は16.6倍に精製され, その回収率は約21%であった。精製酵素のPAGEおよびSDS-PAGEにおいて, 1本のバンドを示した。精製酵素の分子量はゲル濾過法とSDS-PAGEによりそれぞれ41,000と40,000と算出された。精製酵素はクロロゲン酸およびエピカテキンを速やかに酸化した。酵素のクロロゲン酸 (pH5.0, 20℃) とエピカテキン (pH 8.0, 20℃) に対するKm値は0.4と2.7mMと算出された。クロロゲン酸酸化酵素 (ChO) 活性の最適pHは5.0, エピカテキン酸化酵素 (EpO) 活性の最適pHは8.0に認められた。本酵素を4℃で22時間処理した結果, pHs5.0-8.0範囲で安定であった。両活性の最適温度は20℃に認められた。45℃, 30分加熱を行った結果, 両活性の約50%が失活した。両活性は, 5 mMのL-アスコルビン酸, L-システインによって強く抑制された。
著者
野口 智弘 村木 紀之 高野 克己 鴨居 郁三
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.21-26, 1997-01-25 (Released:2011-05-20)
参考文献数
9

トリプシンおよびキモトリプシンの低温における活性は, 2-プロパノールやエタノール添加によって増加した。特に2-プロパノール添加では40℃付近で活性が低下したのに対し, 10℃付近の低温域では活性が増加し, また2一プロパノール添加によって温度依存性の低下がみられた。また, 酵素表面の疎水性は2-プロパノール添加によって増加し酵素の表面構造に変化が生じたことが示唆さ礼2一プロパノールが酵素タンパク質の構造を変化させることにより, 低温における活性の賦活効果を示すものと思われる。