著者
関口 由香 長田 由紀子 伊波 和恵 菅沼 憲治 白﨑 けい子
出版者
聖徳大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Seitoku University, Bulletin of Seitoku University Junior College (ISSN:21876843)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-6, 2019

要旨本研究は中高齢者のアサーティブネスに関する自己陳述を測定する尺度を開発し、その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。高齢者のアサーティブネスに関連する認知的側面を測定する項目を先行研究から抽出し、中高齢者のためのアサーティブネス自己陳述尺度が作成された。調査対象者は60 歳以上男女646 名(男性319 名、女性327 名)であった。因子分析の結果、受身的自己表現に関連する認知と考えられる「受身的思考」、攻撃的自己表現に関連する認知であると想定される「攻撃的思考」、アサーティブネスの考え方を理解している「アサーティブ思考」の3因子が抽出された。Cronbach のα係数による内的整合性が検討され、 中程度の信頼性が示された。また、シャイネス自己陳述尺度および怒りの自己陳述尺度、自尊感情尺度との基準関連妥当性が示された。その結果、アサーティブネスの概念と整合性のある高い妥当性が示された。
著者
富島 大樹 末永 清 菅沼 憲治 山口 豊一 藤生 英行
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.2.3, (Released:2018-06-01)
参考文献数
24

心配傾向の高い者は,同時に複数の心配ごとを抱えているという。ただ,心配関連の複数の情報に対する処理過程に注目した研究は見られない。31名の健常な大学生と大学院生(男性:9名,女性:22名,平均年齢:23.71歳)が2種類の刺激(心配語と中性語)を用いた修正視覚探索課題を実施した。分析の結果,反応時間では,心配傾向の高い者は,妨害刺激が中性語の際に,中性語に比べ心配語の標的の検出がより早く,心配語への注意の促進のバイアスがあり,心配が意識に侵入することに関連しているものと考えられた。また心配傾向が高い者は,心配に関連する情報が多く提示された際に,標的の検出が遅くなっていた。心配傾向の高い者は,心配語に対する注意の解放困難のバイアスがあると考えられた。心配語の処理における要因について,不安障害に関連した臨床的適用と今後の研究の方向性について議論した。