著者
牧 郁子 関口 由香 山田 幸恵 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.298-307, 2003-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
31
被引用文献数
3 1

本研究は, 学習性無力感 (Seligman & Maier, 1967) における随伴性認知に改めて着目し, 新たな無気力感のメカニズムを検討することを目的とした。そこで, 近年問題視されている中学生の無気力感の改善を鑑みて, 以下の研究を行った。研究1では, 随伴性認知の測定尺度「中学生版・主観的随伴経験尺度 (PECS)」の標準化を試みた。その結果, 2因子 (随伴経験・非随伴経験) からなる尺度が作成され, 信頼性・妥当性が実証された。研究2では, まず不登校の中学生の無気力感と随伴性認知との関係を検討するために, PECSを不登群・登校群それぞれに実施したところ, 差が認められなかった。このことから, 登校生徒も不登校生徒と同程度に, 随伴経験の欠如や非随伴経験の多さを有している可能性が示唆された。この結果を受けて, 登校している中学生の無気力感と随伴性認知との関連を検討するため, 担任教師の行動評定によって群分けされた無気力感傾向高群・低群生徒におけるPECSの得点を分析した。その結果, 随伴経験因子において差が認められ, 中学生の無気力感は非随伴経験の多さよりも随伴経験の少なさに起因する可能性があることが示された。
著者
増田 智美 金築 優 関口 由香 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.31-44, 2005-03-31 (Released:2019-04-06)

本研究では、怒り喚起を伴う対人場面における自己陳述を測定できる怒りの自己陳述尺度を作成し、標準化することを目的とした。青年期の学生596名のデータを対象として因子分析を行った結果、第1因子「他者からの不当な扱い」、第2因子「敵意に満ちた考え」、第3因子「報復の正当化」、第4因子「自己への叱責」、第5因子「他者への非難」が抽出された。尺度全体および各下位尺度ともに安定的な内的整合性が示されたことから、尺度の信頼性が認められた。また、他尺度との関連性により併存的妥当性が確認された。加えて、イメージによる怒り喚起状態に伴って、尺度得点が増加したことから、怒り喚起状態における自己陳述を測定する尺度としての構成概念妥当性が裏づけられた。今後、怒りの認知的側面を標的とした認知行動療法を施す際のアセスメント・ツールとして、本研究で標準化された怒りの自己陳述尺度を活用することが望まれる。
著者
関口 由香 長田 由紀子 伊波 和恵 菅沼 憲治 白﨑 けい子
出版者
聖徳大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Seitoku University, Bulletin of Seitoku University Junior College (ISSN:21876843)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-6, 2019

要旨本研究は中高齢者のアサーティブネスに関する自己陳述を測定する尺度を開発し、その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。高齢者のアサーティブネスに関連する認知的側面を測定する項目を先行研究から抽出し、中高齢者のためのアサーティブネス自己陳述尺度が作成された。調査対象者は60 歳以上男女646 名(男性319 名、女性327 名)であった。因子分析の結果、受身的自己表現に関連する認知と考えられる「受身的思考」、攻撃的自己表現に関連する認知であると想定される「攻撃的思考」、アサーティブネスの考え方を理解している「アサーティブ思考」の3因子が抽出された。Cronbach のα係数による内的整合性が検討され、 中程度の信頼性が示された。また、シャイネス自己陳述尺度および怒りの自己陳述尺度、自尊感情尺度との基準関連妥当性が示された。その結果、アサーティブネスの概念と整合性のある高い妥当性が示された。
著者
牧 郁子 関口 由香 山田 幸恵 根建 金男
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.298-307, 2003-09

本研究は,学習性無力感(Seligman & Maier、1967)における随伴性認知に改めて着目し,新かな無気力感のメカニズムを検討することを目的とした。そこで,近年問題視されている中学生の無気力感の改善を鑑みて,以下の研究を行った。研究1では,随伴性認知の測定尺度「中学生版・主観的随伴経験尺度 (PECS)]の標準化を試みた。その結果,2因子(随伴経験・非随伴経験)からなる尺度が作成され,信頼性・妥当性が実証された。研究2では,まず不登校の中学生の無気力感と随伴性認知との関係を検討するために, PECSを不登群・登校群それぞれに実施したところ,差が認められなかった。このことから,登校生徒も不登校生徒と同程度に,随伴経験の欠如や非随伴経験の多さを有している可能性が示唆された。この結果を受けて,登校している中学生の無気力感と随伴性認知との関連を検討するため,担任教師の行動評定によって群分けされた無気力感傾向高群・低群生徒におけるPECSの得点を分析した。その結果,随伴経験因子において差が認められ,中学生の無気力感は非随伴経験の多さよりも随伴経験の少なさに起因する可能性があることが示された。