著者
松本 有央 岡田 真人 銅谷 賢治 菅生 康子 山根 茂 河野 憲二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.686, pp.93-100, 2001-03-14

サル側頭葉に存在する顔細胞集団の活動パターンから視覚刺激画像の階層的な構造を抽出できるかどうかを検証するために, Sugaseらの実験データを解析した. 45個のニューロンの活動から38枚の刺激画像に対する38個の応答ベクトルを生成し, そのベクトルをVariational Bayes (VB)アルゴリズムを用いた混合正規分布解析でクラスタリングした. その結果, 異なった画像に対応するニューロン集団を表すベクトルは, 応答の開始時(90-140ms)において"顔か単純図形"などの大分類情報に対応する3つのクラスターを形成した. それに遅れて(140-190ms)それぞれのクラスターは分離し, "人の個体分類"などの詳細な分類情報に対応するサブクラスターを形成することを発見した. さらに相互情報量を計算することでニューロン集団はヒトは個体, サルは表情, 図形は形によって詳細なクラスターが形成されていることが分かった.
著者
山根 茂 菅生 康子 松本 有央 岡田 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.452, pp.37-40, 2003-11-13

顔は口や目などの部品の配置もさまざま、輪郭や色もいろいろで、さらに表情などの情報を合わせもつ。このように多様で複合した情報が脳内でどのように表現されているかを知ることは、脳の認知や記憶機能のメカニズムを明らかにするうえで大切である。画像の認知や記憶に深く関連している側頭葉と言われる脳の場所では、単一神経細胞においても神経細胞集団においても、おおまかな分類情報から詳細な情報へと階層的に情報が表現されていることがわかった。このダイナミックな分類情報の表現は、連想記憶モデルの振る舞いと酷似していることがわかり、その連想記憶モデルが脳の長期記憶システムとして存在する可能性が大きい。この連想記憶モデルを核に自動的に似ている画像を分類するシステムについて最後に触れる。