著者
菊地 宏樹 湯 哲海
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, pp.547-564, 2016-11-25 (Released:2017-02-25)
参考文献数
25

Bijker (1995a) では、まずオランダの洪水や堤防を巡る問題を唯物論的モデル・認知論的モデル・社会的形成モデルから説明している。そのうえで、社会的形成モデルの不十分な点を指摘し、より精緻なアプローチとして三つのフレームワーク (システムズアプローチ・アクターネットワーク理論・技術の社会的構成) を提示している。これらを用いて、オランダのデルタプランという大規模な堤防工事の事例分析を行った、というのがこの論文の大まかな内容である。この論文中で技術の社会的構成アプローチ (SCOT) はシステムズアプローチ、アクターネットワーク理論とともに、社会技術アンサンブルという、技術・社会などの異質な要素が密接に結びついたものを分析対象とするアプローチとされている。提唱された当初のSCOTは、社会技術アンサンブル的なものを分析対象としていたわけではなく、様々な批判を受けて、フレームワークをアップデートし、およそ10年の歳月をかけてこのパースペクティブに至った。近年、経営学ではSCOTのアプローチが新しい分析ツールとして紹介されるが、これまでの経営学の研究を見ると社会技術アンサンブル的な観点はむしろ普通に利用されており、SCOTというアプローチは社会技術アンサンブルに至る過渡期的なものであったのではないかと考えられる。それゆえ、まだ理論発展の余地はあり、Bijkerによるフレームワークのアップデートの結果として出てきた技術フレームに列挙されている要素の強弱や関係などを解き明かすといった方向性が考えられる。
著者
菊地 宏樹 北山 寛子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0181116a, (Released:2018-11-30)
参考文献数
16

昨今、政府により推進されている働き方改革の中でもダイバーシティがキーワードとされて注目が集まっている。女性や高齢者、外国人の活用が進められていることから、ダイバーシティ研究の重要性は増すだろう。政府はダイバーシティに関して良い面ばかりを強調するが、その裏側には負の面も存在する。ダイバーシティ研究の中のフォルトラインの研究がそういった側面を我々に示唆してくれる。本稿では、フォルトライン研究の嚆矢となったLau and Murnighan (1998) を紹介し、フォルトラインという概念について、有名な例示を通して理解を提供しつつ、見落とされがちな「フォルトラインの活性化」という概念についても焦点を当てて紹介する。
著者
菊地 宏樹 湯 哲海
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, pp.547-564, 2016

<p>Bijker (1995a) では、まずオランダの洪水や堤防を巡る問題を唯物論的モデル・認知論的モデル・社会的形成モデルから説明している。そのうえで、社会的形成モデルの不十分な点を指摘し、より精緻なアプローチとして三つのフレームワーク (システムズアプローチ・アクターネットワーク理論・技術の社会的構成) を提示している。これらを用いて、オランダのデルタプランという大規模な堤防工事の事例分析を行った、というのがこの論文の大まかな内容である。この論文中で技術の社会的構成アプローチ (SCOT) はシステムズアプローチ、アクターネットワーク理論とともに、社会技術アンサンブルという、技術・社会などの異質な要素が密接に結びついたものを分析対象とするアプローチとされている。提唱された当初のSCOTは、社会技術アンサンブル的なものを分析対象としていたわけではなく、様々な批判を受けて、フレームワークをアップデートし、およそ10年の歳月をかけてこのパースペクティブに至った。近年、経営学ではSCOTのアプローチが新しい分析ツールとして紹介されるが、これまでの経営学の研究を見ると社会技術アンサンブル的な観点はむしろ普通に利用されており、SCOTというアプローチは社会技術アンサンブルに至る過渡期的なものであったのではないかと考えられる。それゆえ、まだ理論発展の余地はあり、Bijkerによるフレームワークのアップデートの結果として出てきた技術フレームに列挙されている要素の強弱や関係などを解き明かすといった方向性が考えられる。</p>
著者
菊地 宏樹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0210901a, (Released:2022-02-14)
参考文献数
48

本稿では、技術の限界に対する認識がいかにして更新されていったかを、東海道新幹線を事例として考察した。技術の限界を考えるにあたり、分析のフレームワークとしてSCOT から派生した技術フレームを使用している。また、技術の限界を考えるにあたり、研究段階における技術の限界に対する認識である純粋技術屋的限界と、実際に営業に投入する段階における技術の限界に対する認識である政策技術屋的限界に分けて考察を行い、それぞれの技術の限界に対して、これを規定する要因と更新する要因を明らかにした。
著者
岩尾 俊兵 菊地 宏樹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.99-108, 2016-02-25 (Released:2017-02-25)
参考文献数
17

ダイナミック・ケイパビリティについて、多数の論者から多様な定義が行われてきた。しかし、「劇的な環境変化に対応する能力」というTeece流の代表的なDC定義下では、DCと業務能力を客観的に分離し研究するのが困難であるという指摘が、近年HelfatとWinterによってなされている。Helfat and Winter (2011) による上記の指摘とそれを乗り越えるための処方箋は、DCを単純に企業成長の源泉として捉え直すというものだと考えてよい。彼女らの論点は、その意味で、エディス・T・ペンローズの『企業成長の理論』の観点との類似点を見出しうる。
著者
菊地 宏樹 北山 寛子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.223-232, 2018-12-25 (Released:2018-12-25)
参考文献数
16

昨今、政府により推進されている働き方改革の中でもダイバーシティがキーワードとされて注目が集まっている。女性や高齢者、外国人の活用が進められていることから、ダイバーシティ研究の重要性は増すだろう。政府はダイバーシティに関して良い面ばかりを強調するが、その裏側には負の面も存在する。ダイバーシティ研究の中のフォルトラインの研究がそういった側面を我々に示唆してくれる。本稿では、フォルトライン研究の嚆矢となったLau and Murnighan (1998) を紹介し、フォルトラインという概念について、有名な例示を通して理解を提供しつつ、見落とされがちな「フォルトラインの活性化」という概念についても焦点を当てて紹介する。