著者
菊池 志乃
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2023-04-01

認知行動療法(CBT)は、薬剤抵抗性の過敏性腸症候群(IBS)に有効な治療法であるが、医師や臨床心理士といった治療者の不足や、費用負担などの課題から、臨床での普及は進んでいない。本研究の目的は薬剤抵抗性IBSに対する治療者による短時間ガイドを伴う、インターネットを介したCBT(iCBT)プログラムを開発し、その有効性と費用対効果を無作為化比較試験で検証して、IBSに対するCBTの普及に向けた科学的根拠を創出することである。本研究の目標は実臨床におけるIBSに対するCBTの普及と実装であり、薬剤抵抗性IBSの治療選択肢拡大への貢献が期待される。
著者
大江 悠樹 佐々木 洋平 菊池 志乃
出版者
杏林大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

過敏性腸症候群(IBS)に対する内部感覚曝露を用いた認知行動療法の集団版(集団版CBT-IE)を作成し、治療用の各種マテリアルを整備した。京都大学および高槻赤十字病院と共同でオープンラベルのパイロット試験を実施した。紹介された12名の患者のうち7名が組み入れとなり、介入を終了した。その結果、IBSに特異的な性格の質を測定するIBS-QOLは平均24ポイント、IBS症状の重症度を測定するIBSSIは平均101ポイントの改善を認め、それぞれの効果量はIBS-QOL=3.2、IBSSI=-3.1であった。現在、京都大学および高槻赤十字病院と共同で集団版CBT-IEのランダム化比較試験を実施中である。