著者
鈴木 美穂 菊田 まりな 小笠原 知恵 杉山 大輔 蜂須賀 靖宏 濱口 幸司 岡田 元 大澤 幸雄
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.29-36, 2018-01-25 (Released:2018-01-27)
参考文献数
4

ゲル分離剤の代わりに新たな技術であるメカニカルセパレータを用いたヘパリン血漿分離用採血管BDバキュティナ®バリコアTM採血管の検討を行った。バリコアの特長は遠心分離時間が最短で4,000 G・3分間であること,血球と血漿の分離能に優れており,従来のゲル入り血漿分離用採血管に比べて保存安定性が改善されていることである。高速凝固管にて採血した血清を基準とし,従来品のゲル分離剤入りヘパリン採血管ならびにバリコアを比較した。血清と血漿2種の測定値の差は診断・治療に支障のない程度であった。保存安定性において血清よりも血漿が劣る項目はALP,中性脂肪であった。カリウム,LDは従来のヘパリン血漿採血管は不安定であったが,バリコアでは血清と同等の安定性であった。日常業務において,フィブリン析出は報告遅延やサンプリング不良に繋がるリスク要因の一つである。遠心時間の短縮とフィブリン析出問題を解消できるバリコアはTAT短縮や業務軽減に繋がる製品であると考える。