著者
大貫 文 菱木 麻佑 斎藤 育江 保坂 三継 中江 大
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.15-25, 2015 (Released:2015-06-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1

室内で燃焼させて使用する線香類について,燃焼時に放出される化学物質を分析し,線香類を使用した際に推定される室内空気中化学物質濃度を算出した。方法は,市販の線香類12試料を燃焼させ,その煙を空気採取用バッグに採取し,バッグ内の揮発性有機化合物類,アルデヒド類及び有機酸類の濃度を測定した。その結果から,試料重量当たり及び燃焼時間当たりの物質放出量を求め,室内空気中の有害物質等濃度を推定した。検出されたのは48物質で,アセトアルデヒド,イソプレン,酢酸,アクロレイン及びベンゼン等の放出量が多かった。48物質合計値の6割以上を有機酸類が占めた試料も見られた。同じ銘柄で煙の量が異なる製品の放出量(μg/h)を比較した結果,煙が「ほとんどない」と標榜していた試料における48物質の合計放出量は「ふつう」の試料の約25%で,なかでも,酢酸及びホルムアルデヒドの放出量が少なかった。また,主に室内で使用する9試料を1時間燃焼させた後の空気中有害物質濃度を推定した(室内容積20 m3,換気回数0.5回/時)。主な物質の濃度範囲は,ベンゼンが11~77 μg/m3,1,3-ブタジエンが4.8~14 μg/m3,アセトアルデヒドが22~160 μg/m3で,アセトアルデヒドについては,6試料が厚生労働省による室内空気中濃度の指針値を超過すると推定された。
著者
小林 憲弘 鈴木 俊也 小杉 有希 菱木 麻佑 加登 優樹 金田 智 植田 紘行 河相 暢幸 北本 靖子 土屋 かおり 木村 慎一 古川 浩司 岩間 紀知 中村 弘揮 粕谷 智浩 堀池 秀樹 京野 完 髙原 玲華 馬場 紀幸 佐藤 信武 久保田 領志 五十嵐 良明
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.211-224, 2016 (Released:2016-11-10)
参考文献数
23
被引用文献数
6

水道水中のホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを迅速・簡便に分析するために, DNPHで誘導体化した試料をLC/UVあるいはLC/MS/MSにより測定する方法を検討した。検討の結果, 水道水に塩化アンモニウムを加えて残留塩素を除去した後, リン酸とDNPHを加えて誘導体化した試料を測定した。いずれの測定機器を用いた場合も両誘導体のピークは短時間で良好に分離し, ホルムアルデヒドの基準値の1/10の濃度 (0.008 mg L-1) まで高精度に分析できた。さらに, 本研究で確立した分析法が全国の水道水質検査に適用できるかどうかを検証するために, 15機関において水道水を用いた添加回収試験を行った結果, いずれの測定機器を用いた場合も両物質について「水道水質検査方法の妥当性評価ガイドライン」の真度, 併行精度および室内精度の目標を満たした。以上のことから, 本分析法は水道水の標準検査法として利用可能と考えられる。