著者
萩平 哲
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.638-645, 2006 (Released:2006-12-22)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

現代のバランス麻酔において最も重要な要素は 「鎮痛」 であり, 硬膜外麻酔などの神経ブロックが併用できない手術においてはフェンタニルなどの麻薬が 「鎮痛」 の主役となる. 残念ながら現在のところ, フェンタニルの薬理学的特性を正しく理解して使いこなしている麻酔科医は少数派であると推定される. フェンタニルの薬理学的基礎から実際の臨床での使用法に関して解説し, 「麻薬恐怖症」 に罹患している多くの麻酔科医の意識改革を促したい.
著者
萩平 哲
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.79-87, 2004 (Released:2005-03-31)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

近年BISモニターなどの脳波(EEG)モニターが普及しつつあるが, 残念ながら現状では適切に使用されているとはいえない. これは麻酔中の脳波に対する基本的な知識の欠如によると考えられる. 本稿では脳波モニターを適切に使用するための基本的な知識を整理し, どのような戦略を用いれば麻酔中の脳波から必要な情報が得られるかについて解説した. 麻酔中の脳波には麻酔薬の作用だけでなく手術刺激の影響やそれを抑制する鎮痛薬の効果も反映されるため, このことを念頭におかなければ脳波モニターを活用することは困難である. またBIS値を含めた脳波パラメータによる判定には限界があるため, 必要に応じて脳波波形で判断することも大切である.
著者
野地 善恵 小原 伸樹 山本 純偉 橋本 学 萩平 哲
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.245-261, 2020-03-01

患者に対して手術中の無記憶や不動を保証するのは,麻酔科医が日常的に行っていることである。しかし,同じことを手術室外の,普段とは異なる環境で実現しようとすると,さまざまな制約に直面する。 今回の症例カンファレンスでは,これまで全身麻酔を行った実績のないCT室におけるドレナージ手術において,術中覚醒の既往のある患者の無記憶を保証したい,という状況でどのような麻酔方法を選択するかについて検討した。 それぞれの施設における環境やルーチン,麻酔科医の経験などによって戦略も変わるだろう。読者自身の施設であればどうするか,よりよい管理方法について考える機会になれば幸いである。