- 著者
-
竹田 仰
蒲原 新一
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
- 巻号頁・発行日
- vol.79, no.2, pp.489-497, 1996-02-25
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
-
12
力覚提示機能をもつ人工現実感技術の応用として, 仮想人物と腕相撲の対戦が行えるシステムを構築した. 対戦のための力覚ディスプレイには, 空気圧式のゴム人工筋を使用し, ヒトの筋力の強さと動きによく桔抗して応答できる機構設計を行った. また, 仮想人物との対戦をいかに人間同士の対戦のように見せるかということのために, 単に勝ち負けの2値的な評価手法ではなく, 知識が対戦ごとに獲得されていく分類システムと遺伝的アルゴリズムの手法を使用した. 従来, これらの手法は計算機内での生物の成長や行動の様子のシミュレーションとして使うことが一般的であった. しかし本論文では, 実際のヒ卜の腕相撲対戦中の刻々と変化する上肢の角速度や位置情報を計算機内に取り込み, それをもとに出力コードを選択して力覚ディスプレイに出力し, 対戦者の上肢の行動反応を再び入力するという外界とのインタラクティブな機能をもつ方式に応用展開している. このことにより, 対戦中にリアルタイムに戦略を学習しながら成長する腕相撲対戦システムを実現できている. また, 対戦中に仮想人物の顔の表情を変化させるなど臨場感の演出も試みている.