著者
繁宮 悠介
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.322, 2004 (Released:2004-07-30)

カニ類では、ハサミ脚の大きさや形態が左右で異なる現象が頻繁に見られる。ハサミ脚の左右性は、シオマネキ類やカラッパ類で特に顕著であるが、このような形態的非相称性は、左右のハサミの機能分化と関係しており、特殊化した側のハサミ脚は、シオマネキ類では配偶者獲得のため、カラッパ類では巻貝捕食のためというように、各種の特徴的な行動や生態と密接に関連している。 左右性が見られるカニ類の多くの種では、個体群中に右利きの個体と左利きの個体の両者が共存する。左右性の発現は、遺伝的に決定されていると考えられることから、鏡像関係にある二者が、自然選択によって個体群中に維持されていることになる。 この研究では、サワガニにおける左右性多型が、どのようなメカニズムによって維持されているのかを解明することを目的とする。サワガニはオスでのみ片側のハサミ脚が大型化し、右利き個体が7_から_8割を占める。まず、オスの大型化したハサミが、採餌においてどのように使われるかを調べるために、実験室における採餌行動を観察した。次に、10余りの個体群において、どちらの体側の付属肢が失われているかを調べ、オスの左右性が付属肢欠失にあたえる影響を明らかにした。最後に、各個体群の左右比が、附属肢欠失個体率や性比などの個体群特性のどれと相関を示すのかを調べた。これらの調査から得られた結果を総合して、多型維持メカニズムについて議論する。
著者
繁宮 悠介
出版者
長崎総合科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

交尾器破壊が起こらず多回交尾が可能なゴミグモでは、オスはメスの交尾歴に基づくメスの選択を行わず、交尾器破壊が起こり1回交尾と考えられるミナミノシマゴミグモでは、春世代に限れば未交尾のメスが選ばれやすかった。オスが糸を弾いて送る振動信号(求愛歌)は、種間の違いはあるものの、ミナミノシマでメスの1回交尾の機会を獲得するためにオスが行動を進化させている証拠は見つからなかった。どちらの種でも、メスの網に2匹のオスが同時に侵入した場合にもオス間の闘争は見られず、メスはどちらのオスとも交尾するなど、メスによる選択も起こらないようだ。
著者
大場 和彦 蒲原 新一 繁宮 悠介 市瀬 実里 中道 隆広
出版者
長崎総合科学大学附属図書館運営委員会
雑誌
長崎総合科学大学紀要 = Bulletin of the Nagasaki Institute of Applied Science (ISSN:24239976)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.100-109, 2018-01-29

Methodologies of science education have changed with the changing times. Although information-oriented society tends to make students away from science, the scientific knowledge and thinking method equipped in secondary education are useful in following daily life and career. We examined whether the curriculum of the Life Environment Engineering Course in Nagasaki Institute of Applied Science can cover many contents of science in secondary education and whether the curriculum is beneficial for teacher training. Our curriculum consists of five disciplines: agricultural meteorology, environmental analytical chemistry, energy conservation technology, biotechnology, and ecology. Their integrated education enables students to learn many contents of high-school science and also interaction among four subjects: physics, chemistry, biology, and geology. Science teachers trained in this curriculum however would have difficulty when teaching existing disciplinary science, but they would exert their conception of nature in the secondary educational subject “the period of integrated study” where interdisciplinary and inquiry learning are encouraged.