著者
藤井 勲
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.304-324, 1985-04-30 (Released:2010-01-08)
参考文献数
25
著者
浅井 禎吾 塚田 健人 橋元 誠 藤井 勲 五味 勝也 大島 吉輝
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2014

<p> 生物が作り出す二次代謝物、いわゆる天然物は、その化学構造の多様性は言うまでもなく、合成ライブラリーとは異なるケミカルスペースを占有していることから、依然として新規医薬品開発における魅力的な資源である。そのため、天然物をベースとした新しいケミカルスペースの開拓が重要な課題の一つとなっている。例えば、休眠遺伝子を活用した新規二次代謝物の創出に加え<sup>1,2</sup>、コンビナトリアル生合成<sup>3</sup>や天然物を起点とした多様性指向型合成<sup>4,5</sup>によるpseudo-natural productの創生などの研究も盛んに行われている。</p><p> 天然物の構造多様性は、一次代謝から供給される基本構成要素を原料とした骨格構築に始まり、続く多段階の修飾や転位反応を経る分岐的な生合成経路に起因する(図1)。すなわち、生合成上流の中間体が代謝過程で様々な構造へと変化していくことで、分子多様性が生み出されている。例えば、糸状菌のazaphilone類やmeroterpenoid類の生合成において、非還元型ポリケタイド合成酵素 (NR-PKS) が作る単環式の芳香族中間体は、実に様々な化合物へと変化する(図2)<sup>6,7</sup>。しかし、このような中間体 (multi-potent intermediate<sup>8</sup>)の活用は、もともとの生物資源での代謝だけでは、限定的なものにとどまる。そこで、生合成工学および化学反応を用いた人工的な手法により、multi-potent intermediateを多様なpseudo-natural productに変換できれば、新たなケミカルスペースの開拓に繋がると考えた (図1)。</p><p> </p><p> </p><p> </p><p> 本発表では、"Chemical Epigenetics"を利用する天然物探索法を用いて取得した構造多様なchaetophenol類<sup>9</sup>の、生合成における最初の中間体であるPM-1をmulti-potent intermediateとして着目し、Aspergillus oryzaeでの異種発現系や簡便な化学反応を用いた、多様性に富んだ新規pseudo-natural productへの展開について報告する(図3)。</p><p>① Aspergillus oryzae異種発現系を用いたポリケタイドオリゴマーの作成</p><p> これまで、Chaetomium indicumのドラフトゲノム解析およびAspergillus oryzaeでの異種発現により、 pksCH-2がPM-1の生合成NR-PKS遺伝子であることを明らかにしている<sup>9</sup>。A. oryzae−pksCH-2高発現株を各種条件にて培養し、培養液中の生成物を追跡したところ、PM-1からイソクロメン型環化体PM-2への変換が確認された。さらに、いくつかの条件では、二量化したPO-1およびPO-2の蓄積が認められた。PM-1とPM-2の野生型A. oryzae培養液への添加実験の結果、PM-1からPM-2への環化はA. oryzae内因性酵素により、PO-1およびPO-2はPM-2が非酵素的に二量化することで生成することがわかった。一方、ジアセチル化体PM-2aは二量化しなかった。また、PM-2からPO-1</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>
著者
藤井 勲
出版者
岩手医科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

A. oryzae RIB40株のゲノム解析から見出されたタイプI型PKS遺伝子について、芳香族型Ao11〜113の13種、還元型Ao21〜212の12種、ペプチド合成酵素とのハイブリッド型(PKS/NRPS)Ao31〜33の3種について順次、発現用宿主であるA. oryzae M-2-3株に形質転換・導入しているが、今年度は新たにAo15、17、18 PKSについてその生産化合物を同定した。その結果、Ao18 PKSは、ナフトピロンYWA1の合成酵素であること、Ao15 PKSはオルセリン酸合成酵素であることが判明した。また、Ao17形質転換体は、2つの主生成物を与えたが、これらはいずれもヘプタケタイドであるcitreoisocoumarinとalternariolであると同定した。両者は、炭素鎖長は同じであるものの閉環様式が全く異なっている。また、後者は、Alternaria属糸状菌の生産するマイコトキンとして報告されている化合物であり、A. oryzaeがその生産能を潜在的に有することが確認された。RIB40株には全長PKS/NRPSをコードするAo31〜33に加え、一部欠失のあるPKS/NRPS遺伝子が存在しているが、その周辺遺伝子情報の検討から、本来はシクロピアゾン酸(CPA)の生合成に関わっていたことが推定された。そこで、RIB40株の配列をもとにCPR生産菌A. flavusのゲノムデータベースを検索し、CPA生合成に関わると思われる遺伝子クラスターを見出した。これを確認するため、A. flavasの対応するPKS/NRPS遺伝子を上記Ao PKSの発現と同様にして、A. oryzaeで発現したところ、CPA生合成前駆体の生産を確認した。現在、A. oryzae以外の菌株のポリケタイド生合成遺伝子についても解析を進めている。