著者
藤井 康彦 稲葉 頌一 稲田 英一
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.27-32, 2012-01-01 (Released:2012-07-10)
参考文献数
18

輸血後移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)は免疫不全の患者にのみ発症すると考えられていたが,原病に免疫不全のない患者でも,human leukocyte antigen(HLA)一方向適合を主要な条件として発症することが明らかになった。日本人はHLAの多様性が少ないため,輸血後GVHD発症のリスクが高い。日本輸血・細胞治療学会は1992年に初めて「輸血によるGVHD予防のための血液に対する放射線照射ガイドライン」を公表し,2010年に4度目の改訂を行った。2000年以降,放射線照射血液製剤による輸血後GVHDの確定症例は確認されなくなった。しかし,2007年と2010年に日本輸血・細胞治療学会が実施した「輸血業務に関する総合アンケート調査」では,放射線未照射製剤を使用した施設が少なからず存在した。放射線照射ガイドラインによる予防対策は効を奏しているが,輸血後GVHDの重篤性や予防の必要性に対する認識が薄れる懸念があり,認識不足による予防の不徹底からの輸血後GVHDの発症は回避されるべきである。
著者
藤井 康彦 松崎 道男 宮田 茂樹 東谷 孝徳 稲葉 頌一 浅井 隆善 星 順隆 稲田 英一 河原 和夫 高松 純樹 高橋 孝喜 佐川 公矯
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.374-382, 2007-06-20 (Released:2008-10-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1 3

輸血過誤によるABO型不適合輸血は, 最も重要な輸血副作用である. 輸血学会は, 300床以下の施設を含む1,355病院を対象とし, 匿名で, 調査を行った. 全血, 赤血球製剤, 凍結血漿, 血小板製剤を対象とし, 2000年1月から2004年12月の5年間に, 発生したABO型不適合輸血の解析を行った. 1,355病院中829病院 (61.2%) から回答があり, ABO型不適合輸血60件が報告された. 原因となった製剤は, 赤血球製剤 (Major Mismatch 22件, Minor Mismatch 9件), 凍結血漿19件, 血小板製剤8件, 不明2件であった. 原因別では, 輸血実施時の患者・製剤の照合間違いが27件 (45%), 血液型検体採血間違いが2件 (3%), 主治医の輸血依頼伝票の記入間違いが8件 (13%), 医師による輸血検査の間違いが10件 (17%), 検査技師による輸血業務の間違いが10件 (17%), その他3件 (5%) が報告された. 赤血球製剤 (Major Mismatch) の不適合輸血により8例の死亡例の報告があった. 4例では死亡の原因は原疾患による可能性があるとのコメントがあった. 依然として「輸血実施時の患者・製剤の照合間違い」がABO型不適合輸血の最大の原因であった.