著者
佐藤 篤司 桑原 義之 篠田 憲幸 木村 昌弘 石黒 秀行 春木 伸裕 杉浦 弘典 田中 直 藤井 義敬
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.607-612, 2004-03-31 (Released:2010-09-24)
参考文献数
20

1992年1月から2002年12月までのステロイド投与患者に対する腹部救急手術18例を対象とした。ステロイド投与適応疾患は関節リウマチ7例, 進行性全身性硬化症+皮膚筋炎1例, 全身性紅斑性狼瘡1例, 悪性リンパ腫2例, 骨髄性白血病2例, 再生不良性貧血1例, 潰瘍性大腸炎2例, 急性呼吸循環不全1例, 脳外科手術後1例であった。1日平均ステロイド投与量はprednisoloneに換算して54.5mg, 平均投与期間は41.9ヵ月, 平均総投与量は10.9gであった。術後合併症は, 14例 (77.8%) にみられ, 創部感染, 縫合不全, MOF, DICなどであった。在院死亡を6例 (33.3%) に認めた。ステロイド投与患者では合併症を起こしやすいことから, 原疾患の活動性, ステロイド投与歴を十分把握した上で腹部救急疾患の治療を行うことが重要と思われた。
著者
可児 久典 山川 洋右 丹羽 宏 桐山 昌伸 深井 一郎 近藤 知史 斉藤 雄史 佐々木 秀文 横山 智輝 藤井 義敬
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.414-417, 1997-07-25

症例は, 54歳の男性。1996年5月より咳嗽, 喀痰が出現し, 人間ドックにて胸部異常陰影を指摘されたため, 当科紹介受診となった。喀痰細胞診でClass V(腺癌), 気管支鏡検査では, 右上葉気管支入口部にポリープ状の腫瘍をみとめ, 生検で扁平上皮癌の診断を得た。このため右肺上葉原発の扁平上皮癌の診断で, 6月18日右上葉楔状切除術を施行した。術後の検索にて, 腫瘍は右S^2原発の腺扁平上皮癌で, 気管支内腔をポリープ状に発育しており, pT2N0M0 stage Iであった。気管支内腔をポリープ状に進展する腫瘍は原発性肺癌, カルチノイド, 転移性肺腫瘍等でみられるが, 肺癌の場合は扁平上皮癌が大半を占める。腺扁平上皮癌はその頻度も少なく, 内視鏡的所見や発育形態も定かではない。本例は末梢から発生し気管支内腔をポリープ状に進展した腺扁平上皮癌として, 興味のある症例であると思われた。