著者
千葉 修 柏 達也 霜田 英麿 鏡 愼 深井 一郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.551-562, 1993-08-01
被引用文献数
23 4

3次元時間領域における音場解析は定常解だけでなく過渡解やパルス応答が容易に得られ、フィールド分布など系の特性把握に有効である。本論文では、この3次元時間領域音場解析の一つとして従来の差分法とは異なるリープフロッグアルゴリズムに基づく時間依存差分法による音場解析を試みた。ここでは、音場解析のための本手法の定式化を3次元空間について行った。次に、表面インピーダンスを持つ境界条件の定式化を行いその妥当性を確認した。また剛体角柱による散乱定常解析から本定式化の妥当性を確認した。更に、表面インピーダンスが仮定された角柱と剛体角柱による散乱過渡解析を行い、本手法の散乱解析への有効性を示した。
著者
山形 積治 奈良 慎一 深井 一郎 安田 一次
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J62-A, no.7, pp.436-443, 1979-07-25

先にplano-convex AT-cut水晶振動子の振動モードをx′-y′断面について実測し,有限要素によってシミュレーションを加えた.その結果,特に厚み方向(y′軸)の応力の分布を明らかにした.今回は前述の結果,すなわち,y′軸方向の厚みすべりの応力T′6の分布が正弦関数状(厚みすべりの変位U′1は余弦関数状)になる,事実に基づきx′-z′平面(主平面)における厚みすべり振動の変位振幅U′1(x′,z′)分布の解析を行った.AT-cut水晶振動子を無限障壁を有するボテンシャル井戸と考えると,U′1に対する振動方程式はシュレーディンガー方程式となる.筆者らはこの方程式を原形のまま有限要素法を用いて解くことを試みた.その結果,共振周波数,振動モード共に実測値と極めて高い精度で一致することが明らかとなった.先にウィルソンが振動子を放物面障壁を有するポテンシャル井戸と仮定して解いた近似解よりも1けた以上も精度が高い点に本解析法の特色がある.
著者
可児 久典 山川 洋右 丹羽 宏 桐山 昌伸 深井 一郎 近藤 知史 斉藤 雄史 佐々木 秀文 横山 智輝 藤井 義敬
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.414-417, 1997-07-25

症例は, 54歳の男性。1996年5月より咳嗽, 喀痰が出現し, 人間ドックにて胸部異常陰影を指摘されたため, 当科紹介受診となった。喀痰細胞診でClass V(腺癌), 気管支鏡検査では, 右上葉気管支入口部にポリープ状の腫瘍をみとめ, 生検で扁平上皮癌の診断を得た。このため右肺上葉原発の扁平上皮癌の診断で, 6月18日右上葉楔状切除術を施行した。術後の検索にて, 腫瘍は右S^2原発の腺扁平上皮癌で, 気管支内腔をポリープ状に発育しており, pT2N0M0 stage Iであった。気管支内腔をポリープ状に進展する腫瘍は原発性肺癌, カルチノイド, 転移性肺腫瘍等でみられるが, 肺癌の場合は扁平上皮癌が大半を占める。腺扁平上皮癌はその頻度も少なく, 内視鏡的所見や発育形態も定かではない。本例は末梢から発生し気管支内腔をポリープ状に進展した腺扁平上皮癌として, 興味のある症例であると思われた。