著者
谷脇 聡 榊原 堅式 山下 年成 横山 智輝 寺下 幸夫 伊藤 寛
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.2189-2193, 2005
被引用文献数
2

腸回転異常や器質的な異常を伴わない小児の原発性小腸軸捻転症(以下,本症)は稀であり,術前診断は困難である.今回,われわれは新生児の本症3例を経験した. 3例とも男児で,日齢2以内に発症し,出生体重は1,500から2,286grと全例,低出生体重児であった.症状は全例腹部膨満を認め, 2例で,各々,コーヒー残渣様嘔吐と呼吸障害を伴った.注腸造影で大腸の位置異常は認めなかった.開腹手術時,症例1,2では遠位回腸が時計方向に360°.捻転していたが,整復により腸管の色調が回復し腸切除を行わなかった.症例3では近位空腸が, 720°.反時計方向に絞扼し,一部腸管壊死が認められ,腸切除を行っている. 3例とも,術前に確定診断はできなかったが,著明な小腸拡張を伴い,保存的治療では解除困難なイレウスであることから,早期に開腹手術を行い救命している.
著者
可児 久典 山川 洋右 丹羽 宏 桐山 昌伸 深井 一郎 近藤 知史 斉藤 雄史 佐々木 秀文 横山 智輝 藤井 義敬
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.414-417, 1997-07-25

症例は, 54歳の男性。1996年5月より咳嗽, 喀痰が出現し, 人間ドックにて胸部異常陰影を指摘されたため, 当科紹介受診となった。喀痰細胞診でClass V(腺癌), 気管支鏡検査では, 右上葉気管支入口部にポリープ状の腫瘍をみとめ, 生検で扁平上皮癌の診断を得た。このため右肺上葉原発の扁平上皮癌の診断で, 6月18日右上葉楔状切除術を施行した。術後の検索にて, 腫瘍は右S^2原発の腺扁平上皮癌で, 気管支内腔をポリープ状に発育しており, pT2N0M0 stage Iであった。気管支内腔をポリープ状に進展する腫瘍は原発性肺癌, カルチノイド, 転移性肺腫瘍等でみられるが, 肺癌の場合は扁平上皮癌が大半を占める。腺扁平上皮癌はその頻度も少なく, 内視鏡的所見や発育形態も定かではない。本例は末梢から発生し気管支内腔をポリープ状に進展した腺扁平上皮癌として, 興味のある症例であると思われた。