- 著者
-
藤森 立男
- 出版者
- The Japanese Group Dynamics Association
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.1, pp.35-43, 1980-10-01 (Released:2010-11-26)
- 参考文献数
- 33
- 被引用文献数
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本研究は, 魅力次元を明らかにし, 各魅力の主要次元における態度の類似性と話題の重要性が対人魅力におよぼす効果を検討した.実験Iは, 5~7日の間隔で実施され3セッションからなっていた. 第1セッションでは, 予備調査に基づき, 8つの重要な話題 (質問紙α) と8つの非重要な話題 (質問紙β) を態度尺度として選び, 70人の被験者に6ポイント・スケールで評定させた. 第2セッションでは, 被験者の半分は, 同じ8つの重要な話題に反応している5人の質問紙αを提示され, その後で26の魅力評価尺度にそれぞれの人の評定を求められた. 5人の反応は, 被験者の反応と0%, 25%, 50%, 75%, 100%の類似性に操作されていた. ここで言う類似性とは, 8項目に対して占める被験者と提示人物との類似反応の比率のことであった. 非類似反応は, 被験者の反応から3ポイントずれており, 類似反応は常に同じであった. 第3セッションでは, 被験者は, 8つの非重要な話題に反応している5人の質問紙βを提示され, それから, それぞれの人の評定を求められた. 残りの被験者は, 第2セッションでは, 5人の質問紙βを, 第3セッションでは, 5人の質問紙αを提示された.実験IIは, 実験Iとほぼ同じであったが次の2点が異なっていた. (1) 被験者は, 3人の反応 (0%, 50%, 100%の類似性) を提示された. (2) 非類似反応は, 1ポイントずれていた.主要結果は, 以下のとおりであった.1. 魅力評価尺度の相関行列をprincipal componentanalysisに掛け, 有意味な因子と考えられる4因子をvarimax法により直交回転させたところ, 親密, 交遊, 承認, 共同などの因子が見出された.2. 両実験において, Byrneによって提出された態度の類似性-魅力理論は, 十分に確証された. すなわち, 態度の類似性の効果は, 各魅力次元において非常に有意であり, 態度の類似性が高くなるにつれて, 他者に対する魅力も高くなる傾向が見出された. しかし, 項目の重要性の効果は, 全般的に見られなかった.