著者
藤沼 司
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.54, pp.37-40, 2006-10-27

今日の「知識社会」への端緒を切り開いたF.W.ティラーの科学的管理は、また同時に「組織(中心)社会」の端緒を切り開くものでもあった。科学的に正当化された専門的知識に基づく管理という着想を核心とする科学的管理の進展は、<管理=組織原理の官僚制化>をもたらした。これにより「命令の非人格化」(個人の機能化)が可能となったが、それが「再人格化」(個人の再主体化)と両立(機能化即再主体化)するには、経営哲学が必要であるとM.P.フォレットは指摘する。今日、仕事を通じた自己実現や目標管理、脱官僚制化を指向する分権組織など、一見すると機能化即再主体化が果たされつつあるように見える。本報告では、こうした事態をどのように把握しうるか、フォレット経営思想を手がかりとして考察する。