著者
青木 佳壽子 宮崎 悦子 木戸 友幸 畑 直成 羽間 収治 藤田 周一郎 倉田 明彦
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.173-177, 1990

症例: 74才男性, 1983年より高血圧症, 虚血性心疾患, 肺気腫などで当内科にて経過観察中の患者で, 当初より肝管, 総胆管の拡張あり, 胆嚢腫大も認められた. 1986年には糖尿病発症(NIDDM)をみた. 1987年6月10日ころより執ような下痢が起こり, 7月9日精査治療目的で入院す. 体重9kg減少し, 黄疸(-), 肝鎖骨中線上3横指触知, Courvoisier徴候(+), アミラーゼ414U/L(P: 368, S: 45), CEA: 9.1, CA-19-9:32U/ml, 7月22日ERCP; 膵胆管合流異常, 8月末黄疸出現, PTCD施行, 造影にて完全閉塞を認む. 腹部血管造影施行, 胃十二指腸, 胃腸間膜動脈への浸潤像あり. 静脈リンパ系への浸潤も当然あると考えられ, そのための下痢と判明す. PTCD胆汁細胞診にて乳頭状腺癌検出をみ, 頻度及び造影所見より総胆管癌を疑つた. 2月26日死亡す. 剖検にて中等度分化型膵頭部管状腺癌で, 膵周囲, 総胆管, 肝外胆管及び周囲リンパ節, 胆嚢, 上, 下腸間膜動静脈, 門脈に浸潤転移を認めた.
著者
福島 淳一 鍋谷 欣市 花岡 建夫 小野澤 君夫 中田 芳孝 木村 治 藤井 道孝 藤田 周一
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.455-460, 1988
被引用文献数
13

症例は69歳男性。昭和62年5月14日,起床時に水を飲んだところ,突然,右前胸部より背部にかけての激痛が出現した。痙痛はしだいに軽快した。翌日の食道透視にて中部食道右側よりバリウムの漏出が認められ,特発性食道破裂の診断を受けた。入院後,胸腔ドレーンが挿入され,胸腔内洗浄が施行された。その後の食道透視にて,破裂口の閉鎖を認めた。特発性食道破裂は,早期診断・早期手術が原則であるが,最近では保存的治療による治癒例の報告も増加している。保存的治療も,その適応を誤らなければ,有効な治療法の1つとなり得る。今回,われわれは,保存的治療で治癒することのできた1例を経験したので報告する。