著者
藤田 建 伊藤 浩明 渡邊 紘章
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.355-359, 2020 (Released:2020-12-25)
参考文献数
17

【緒言】悪性腫瘍に合併した続発性全身性多汗症に対して推奨されている治療法はないが,症状緩和にオピオイドが有効であった症例を経験した.【症例】64歳女性.右腎細胞がん(右腎摘除術後),骨転移,肺転移,左副腎転移と診断され,右股関節部のがん疼痛と,突発する全身多量発汗の症状緩和目的で緩和ケア病棟に入院した.がん疼痛に対しては,入院前から使用していたフェンタニル貼付剤を増量することによりレスキューが必要ない状態となった.発汗に対しては,腫瘍熱と考え解熱鎮痛薬とステロイドを使用したが効果を認めず,オキシコドン速放製剤を予防的に使用することにより症状緩和が得られた.【考察】本症例の発汗には視床下部とフェンタニル貼付剤が関与したと考えられる.オピオイドは視床下部に作用し発汗を抑制する可能性がある.
著者
横川 浩治 中井 克樹 藤田 建太郎
出版者
水産増殖談話会
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.145-155, 2005 (Released:2011-03-05)

北米原産のオオクチバスMicropterus salmoidesが沿岸域で優占していた琵琶湖に、近年、近縁種のフロリダバスM. floridanusの侵入が確認された。琵琶湖沿岸の4地域から2000~2003年に得られた合計194個体のアイソザイムを調べた。オオクチバスとフロリダバスはAAT-1*、IDHP-1*、MDH-1*、SOD*の4遺伝子座において識別されるが、調べたすべての標本群のこれら遺伝子座においてフロリダバスを特徴づける遺伝子が頻繁に出現し、概略、全体の半分がフロリダバスの遺伝子で占められていた。すべての標本群においてHardy-Weinbergの遺伝平衡からのずれは認められず、大部分はヘテロ過剰傾向を示した。マーカー座における個体ごとの遺伝子型から判断して、雑種F2以降あるいは戻し交雑個体が大半であると推定され、琵琶湖内ではオオクチバスとフロリダバスの交雑が既にかなり進行していることが示唆された。以上の結果は、従来生息していたオオクチバスに匹敵する数量のフロリダバスが琵琶湖に侵入したことを示し、人為的な大規模放流があったものと推定される。
著者
横川 浩治 中井 克樹 藤田 建太郎
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.145-155, 2005-06-20
参考文献数
46

北米原産のオオクチバス<I>Micropterus salmoides</I>が沿岸域で優占していた琵琶湖に, 近年, 近縁種のフロリダバス<I>M. floridanus</I>の侵入が確認された。琵琶湖沿岸の4地域から2000~2003年に得られた合計194個体のアイソザイムを調べた。オオクチバスとフロリダバスは<I>AAT-1</I>, <I>IDHP-1</I>, <I>MDH-1</I>, <I>SOD</I>の4遺伝子座において識別されるが, 調べたすべての標本群のこれら遺伝子座においてフロリダバスを特徴づける遺伝子が頻繁に出現し, 概略, 全体の半分がフロリダバスの遺伝子で占められていた。すべての標本群においてHardy-Weinbergの遺伝平衡からのずれは認められず, 大部分はヘテロ過剰傾向を示した。マーカー座における個体ごとの遺伝子型から判断して, 雑種F<SUB>2</SUB>以降あるいは戻し交雑個体が大半であると推定され, 琵琶湖内ではオオクチバスとフロリダバスの交雑が既にかなり進行していることが示唆された。以上の結果は, 従来生息していたオオクチバスに匹敵する数量のフロリダバスが琵琶湖に侵入したことを示し, 人為的な大規模放流があったものと推定される。
著者
中尾 博行 川端 健人 藤田 建太郎 中井 克樹 沢田 裕一
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.167-173, 2006-11-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Predation of eggs and larvae of bluegill (Lepomis macrochirus), by snails (Semisulcospira spp.and Sinotaia quadrata histrica) were examined during the bluegill reproductive period (July and August) in 2003 and 2005. At a littoral study site in the northern basin of Lake Biwa, population densities of snails were significantly higher in bluegill nests than in their surroundings, indicating deliberate aggregation of the former. Laboratory experiments to assess the degree of predation on bluegill eggs and larvae by snails showed a significant decrease in egg and larval numbers when established in aquaria together with Semisulcospira spp., and Sinotaia quadrata histrica, respectively. During experimentation, predatory behavior by snails was also directly observed, indicating that snails aggregating in bluegill nests probably predate eggs and larvae despite parental care of the latter.