著者
宍戸 俊英 榎本 香織 藤田 直之 鈴木 敦 林 建二郎 野村 昌史 板谷 直 多武保 光宏 渡辺 和吉 野田 治久 桶川 隆嗣 奴田原 紀久雄 東原 英二
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.543-550, 2008-03-20
参考文献数
21
被引用文献数
3 2

(目的) 前立腺肥大症患者に対して実施した, ホルミウムレーザー前立腺核出術 (HoLEP) と経尿道的前立腺切除術 (TUR-P) による治療効果を比較検討した.<br>(対象と方法) 2004年4月から2006年3月までの間にTUR-Pを施行した患者41人 (平均年齢69.2±7.3歳) と, 2005年12月から2007年2月までの間にHoLEPを施行した患者46人 (平均年齢68.2歳±7.5歳) の計87人を対象とした.<br>(結果) 両群間に患者年齢, 術前のIPSS, QOL index, 残尿量, 最大尿流率, 平均尿流率, 推定前立腺容積に有意差はなかった. ヘモグロビンの低下はTUR-P群1.91±1.3, HoLEP群1.15±1.2 (P<0.05) とHoLEP群で有意に少なかった. 手術時間はTUR-P群で118.3±369分, HoLEP群161.9±65.0分とHoLEP群で有意に長かった (p<0.001). 切除重量はTUR-P群が29.3±13.3g (10~55), HoLEP群34.8±33.4g (5~148) で有意差はなかった (p=0.337). カテーテル留置期間 (115.2±27.5vs52.1±29.6時間p<0.001) および入院期間 (9.4±2.2vs6.6±2.3日p<0.001) はHoLEP群で有意に短かった. また, 術後3ヵ月目のIPSS, QOL index, 残尿量, 最大尿流率, 平均尿流率に有意差を認めなかった.<br>(結論) HoLEPはBPHによる下部尿路閉塞に対し, TUR-Pと同等の治療効果を認めた. またTUR-Pに比べ出血が少なく, カテーテル留置期間や入院期間も短かった. HoLEPはTUR-Pの代替治療になり得る有力な治療選択肢であると考えられた.