著者
宍戸 俊英 三浦 一郎 渡辺 和吉 野田 治久 林 建二郎 桶川 隆嗣 奴田原 紀久雄 東原 英二
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.731-735, 2005-11

尿膜管疾患14例について検討した.その結果,尿膜管膿瘍は10例で,臨床症状は下腹部痛/臍部排膿と発熱が多く,尿細胞診はclass IIが最も多かった.尿膜管癌は4例で,全例に無症候性肉眼的血尿が見られ,class IIは2例で,血清腫瘍マーカーの上昇を3例に認めた.尿膜管膿瘍では腹部エコー及びMRIを施行した症例では全例で病巣部を描出することができ,T2強調画像で低信号を呈したが,尿膜管癌では内部不均一な等~高信号であった.尿膜管膿瘍の8例に尿膜管摘除術を施行し,尿膜管癌3例には骨盤内リンパ節郭清と尿膜管摘除及び膀胱温存のため膀胱部分切除術を行った.尿膜管癌の2例のみ再発を認め,両症例共に癌死したが,尿膜管膿瘍では再発は認めなかった
著者
宍戸 俊英 榎本 香織 藤田 直之 鈴木 敦 林 建二郎 野村 昌史 板谷 直 多武保 光宏 渡辺 和吉 野田 治久 桶川 隆嗣 奴田原 紀久雄 東原 英二
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.543-550, 2008-03-20
参考文献数
21
被引用文献数
3 2

(目的) 前立腺肥大症患者に対して実施した, ホルミウムレーザー前立腺核出術 (HoLEP) と経尿道的前立腺切除術 (TUR-P) による治療効果を比較検討した.<br>(対象と方法) 2004年4月から2006年3月までの間にTUR-Pを施行した患者41人 (平均年齢69.2±7.3歳) と, 2005年12月から2007年2月までの間にHoLEPを施行した患者46人 (平均年齢68.2歳±7.5歳) の計87人を対象とした.<br>(結果) 両群間に患者年齢, 術前のIPSS, QOL index, 残尿量, 最大尿流率, 平均尿流率, 推定前立腺容積に有意差はなかった. ヘモグロビンの低下はTUR-P群1.91±1.3, HoLEP群1.15±1.2 (P<0.05) とHoLEP群で有意に少なかった. 手術時間はTUR-P群で118.3±369分, HoLEP群161.9±65.0分とHoLEP群で有意に長かった (p<0.001). 切除重量はTUR-P群が29.3±13.3g (10~55), HoLEP群34.8±33.4g (5~148) で有意差はなかった (p=0.337). カテーテル留置期間 (115.2±27.5vs52.1±29.6時間p<0.001) および入院期間 (9.4±2.2vs6.6±2.3日p<0.001) はHoLEP群で有意に短かった. また, 術後3ヵ月目のIPSS, QOL index, 残尿量, 最大尿流率, 平均尿流率に有意差を認めなかった.<br>(結論) HoLEPはBPHによる下部尿路閉塞に対し, TUR-Pと同等の治療効果を認めた. またTUR-Pに比べ出血が少なく, カテーテル留置期間や入院期間も短かった. HoLEPはTUR-Pの代替治療になり得る有力な治療選択肢であると考えられた.
著者
林 建二郎 宍戸 俊英 菅田 明子 中村 雄 板谷 直 原 秀彦 多武保 光宏 桶川 隆嗣 東原 英二 奴田原 紀久
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.137-141, 2015 (Released:2015-05-27)
参考文献数
10

【目的】高齢者におけるホルミウムレーザー前立腺核出術(holmium laser enucleation of the prostate:HoLEP)の治療成績を若年者の成績と比較検討した. 【対象と方法】2005年12月から2010年5月の期間にHoLEPを施行した患者168例を後期高齢者とされる75歳以上51例の群と74歳以下117例の群にわけ,自覚症状の変化や尿流動態および合併症を比較検討した. 【結果】両群でともに有意な自覚症状の改善,尿流動態の改善が認められた(p<0.001).合併症は74歳以下の群で一過性尿閉5例(4.3%),精巣上体炎5例(4.3%),後出血4例(3.4%)を認め75歳以上の群より多かった.両群間で術後のヘモグロビン減少や輸血率,尿失禁の合併に有意差はなかった. 【結語】HoLEPは高齢者の前立腺肥大症に対し,比較的侵襲の少ない有用な術式と考えられた.