- 著者
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蜷川 清隆
西戸 裕嗣
豊田 新
- 出版者
- 岡山理科大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2005
1.御池山のチャート中の石英に衝撃で生じたPDFsを見出した。これは、偏光顕微鏡下において直線的な縞状の構造として認められ、御池山がインパクトクレータである大きな証拠となる。更に低温CL測定の結果からPDFsの構造を確認できた。2005年度にGeo chemical Jour.に投稿したが、構造破壊の直接的証拠が必要との編集者からの意見もあり、この論文は不審査となった。その後のRamanスペクトル測定結果から、非晶質ガラスと結晶の積層構造をとるので、真のPDFsになっていることを確認した。2.ドイツRies crater内から採取した石英試料について、CL発光の温度依存性を検討した結果、衝撃を受けていない石英は2段の温度消光過程を示すのに対して、衝撃を受けている石英はほぼ1つの過程で進行することを確かめた。これら消光過程の活性化エネルギーの定量的な評価にも成功した。3.レールガンによる衝撃実験で、御池山砂岩のTLスペクトルに、350℃・380mmに新たなピークが形成され、御池山クレータ内の砂岩にも同様な膨らみがあることから、御池山がインパクトクレータであることの傍証になってと推定された。この高温ピークを担っている鉱物はTL画像測定によりアルバイトであると同定した。しかし、産地の異なる単結晶のアルバイトのTLスペクトルを調べたが、産地により異なるTL発光スペクトルを示し、衝撃による同様のピーク形成を確認できなかった。4.衝撃実験をおこなった石英・アルバイトのESRスペクトルを調べた結果,石英では、E_1',Ge,Al,Ti-Li中心が衝撃によって、消滅又は線幅の広がりが起こっていた。また、アルバイトは、産地によらず共通に、g=2.0044に新しいピークが生じていた。このESRの結果は、衝撃効果はTL法よりもESR法で,定量的に推定できることを示唆していると思われる。