著者
坂本 正夫
出版者
飯田市美術博物館
雑誌
伊那谷自然史論集 (ISSN:13453483)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-9, 2019 (Released:2019-06-05)

宝永地震は,我が国最大級の地震の一つであり,プレート境界で起こったマグニチュード8.4 〜8.6 の巨大地震である.震源は遠州灘沖から紀伊半島沖にかけての海域にあり,日本列島の広範囲に被害を及ぼした.この地震の被害は伊那谷にも及んでいて,様々な文献などに記録され公表されてきている.しかし,いずれの文献も詳細に伊那谷の被害をまとめられているとは言い難く,部分的な地域の被害状況の記載に留まっている.そこで,そうした部分的に記載された文献を可能な限り収集し,さらに新たな文献発掘も行って伊那谷での宝永地震の被害をまとめる.
著者
坂本 正夫
出版者
飯田市美術博物館
雑誌
伊那谷自然史論集 (ISSN:13453483)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-18, 2014-03-31 (Released:2019-06-05)

過去約1600年間の有史に記録された被害地震の内, 長野県南部に発生した被害地震は極めて少ない. 広範囲に被害をもたらした地震は, 1718年に飯田市南信濃を震源とする遠山地震のみである. しかし,この地震災害の大きさはあまり詳しく調査された報告はない. そこで, 遠山地震だけを対象にして文献の収集を可能な限り広く行い, その記述をもとに現地調査を行ったのでここに報告する.
著者
坂本 正夫
出版者
飯田市美術博物館
雑誌
伊那谷自然史論集 (ISSN:13453483)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-15, 2016 (Released:2019-06-05)

赤石山脈の長野県側は,南アルプスジオパーク(中央構造線エリア)として登録されている.そして,中央構造線と糸魚川−静岡構造線に挟まれた赤石山脈は,主に付加体で形成され,現在も隆起を続ける山岳地域の景観をセールスポイントにしている.しかし,広大な赤石山脈(以下,南アルプスジオパーク関連の内容であるため,「南アルプス」と表記)を全体的な山容としての景観に位置づけるだけでは,必ずしも一般市民に興味関心を引くものになっていない.なぜなら,隆起を続けながら侵食しているという躍動的な自然の営みが一体として示されていないからである.そこで,南アルプスに形成されている主要な渓谷の比較検討から遠山川流域の渓谷に着目し,その特性を洗い出すことによって隆起と侵食のダイナミズムを明らかにしようと試みた.
著者
坂本 正夫
出版者
飯田市美術博物館
雑誌
伊那谷自然史論集 (ISSN:13453483)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.7-13, 2017 (Released:2019-06-05)

天竜川の支流に遠山川水系があり,伊那山地の尾根から赤石山脈の尾根までの天水を集めている.この水系には,領家帯や三波川帯,秩父帯,四万十帯,赤石構造帯があり変化に富む地質が分布している.遠山川水系では,これらの地質帯が侵食され,地質帯を特徴づける土砂が排出されている.その土砂に含まれる鉄分量に着目し,遠山川とその各支流から排出される鉄分量が水系を流下するに連れてどのように変化するかを調査した.また,鉄分量の変化を特徴づけることができるように,地質の違いが際立つように砂の採取地点を選定して鉄分量の測定を行った.それらの結果をについて報告する.