- 著者
 
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             岩田 博
             
             磯谷 敦子
             
             宇都宮 仁
             
             西尾 尚道
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 公益財団法人 日本醸造協会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.99, no.7, pp.534-538, 2004-07-15 (Released:2011-09-20)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 8
 
          
          
        
        
        
        口噛み酒製造工程への米α-グルコシダーゼの働きを検討するため, 生米と炊飯米で口噛み試験を行い, 糖組成, α-グルコシダーゼ活性, pH及び有機酸組成の各変化を調べた。糖組成について, 24時間後で, 生米はグルコースが5%, マルトースが0%であったのに対し, 炊飯米ではマルトースが5%, グルコースが0.8%で両者は全く異なっていた。この理由は, 糖組成とα-グルコシダーゼ活性の測定結果から, 唾液アミラーゼにより生成されたマルトースが, 生米のα-グルコシダーゼによりグルコースに分解されたためと推定された。また, 有機酸組成の検討から, 微生物が生成した乳酸などによるpH低下と酵素抽出促進効果がおこり, α-グルコシダーゼが有効に機能する環境条件下で口噛み試験の反応が起こっていることが分かった。以上から, 口噛み酒は生米のα-グルコシダーゼを巧みに利用した酒造りであると推定された。