著者
西尾 敦史
出版者
沖縄大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

2005年に改正された介護保険法により創設された地域密着型サービスの中で特に小規模多機能ケアに焦点をあて自治体を基盤にした調査を行った。その結果、全国一給付費が高い沖縄の特徴の中から、小規模ケアの機能として、1)利用者のエンパワメント、2)家族サポート(支援)、3)地域社会とのつながりをつくることが重要であり、それが介護を必要とする高齢者の尊厳を高め、その人の人生を尊重したケアが文化として充実・深化する可能性があることが見出された。また、制度の理念を実現するためにも市町村自治体の位置づけと政策が重要であることを明らかにした。
著者
西尾 敦史
出版者
沖縄大学人文学部
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
no.10, pp.77-95, 2007-12

社会福祉の援助者はその援助場面で「援助困難」を抱えることが少なくないために、「援助困難」を軽減する方法が必要となる。そこで「援助困難」は、利用者と援助者の「計画された変化の過程」に、また人と環境の相互作用の接点に生じるというソーシャルワーク、とりわけライフモデルのそれが培ってきた認識を基本に、個人の資源と環境の資源を評価する分析枠組みを設定した。この枠組みを使用し、沖縄県における地域福祉権利擁護事業の実態調査(2007)における「援助困難」の要因を分析したところ、問題の要因、問題相互の関連、また制度・政策面での課題を明らかにすることに一定の貢献があった。「援助困難」を客観的に、また全体的に見ることのできるポジションを確保することは、援助実践面においても、政策決定においても有効であり、ライフモデルソーシャルワークによるニーズの分析枠組みの有効性・可能性についてさらに検証していくことが期待される。