著者
西尾 淳 緑川 孝二 柴田 陽三 城石 達光 江本 玄 緒方 公介
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.13-18, 1997-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
6

We report a rare case of deltoid muscle contracture in an adult. The patient was a 40 year old female who visited our hospital complaining of pain and motion disturbance of both shoulder joints. She had received multiple intramuscular injections for migraine treatment for 5 years. Clinical examination revealed winging of the scapula and fibrous bands were seen in the intermediate part of the deltoid muscles. Strength of the deltoid muscles was normal. Adduction, external rotation and horizontal flexion of the shoulders were restricted, -25 degrees, 35 degrees, 90 degrees, respectively. Fibrous bands showed high echo images within low echo areas on ultrasonography and a low intensity area on MRI. In September 1995, surgery was performed on her right shoulder. The deltoid fascia and subcutaneous tissue were thoroughly and widely released. After resection of fibrous bands at the midpart of the deltoid muscle, range of abduction was improved during surgery. She is now able to touch the opposite shoulder with her right hand. No adductive disturbance was seen. The patient was satisfied with the surgical results and we plan on operating on her left shoulder.
著者
小川 俊子 西尾 淳子
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.386-398, 2017-12-31 (Released:2018-01-25)
参考文献数
30

嚥下障害があり,口腔健康管理を自分で行うことができない要介護高齢者に適切な口腔清掃を継続して実施することは困難である。本研究の目的は,口腔清掃の一手法として,安価で,入手しやすい物品である食用ゴマ油を用いた口腔を清拭する方法の効果を評価することである。 研究デザインは多施設一群事前事後テストデザインを用いた。対象は非経口摂取で口腔健康管理に全介助を要する高齢者13名とした。介入として,研究者らがすでに作成した方法によって食用ゴマ油を用いた口腔の清拭を2週間実施した。口腔清掃の効果の評価は,舌背の細菌数・カンジダ属真菌数およびPseudomonas属細菌数,頰粘膜および舌の水分量,口腔内アセスメントスコアガイドを用いたアセスメント,口腔粘膜細胞診によって実施した。 2週間の本法の実施によって,舌背の細菌数は介入後に-0.56±0.63 log10 CFU/swab(n=12)と減少(p=0.010)し,カンジダ属真菌数は介入後に-1.55±2.19 log10 CFU/swab(n=9)と減少する傾向にあった(p=0.066)。アセスメントでは「舌」「口臭」について6名が改善,「口唇」が3名,「唾液」「粘膜」「歯肉」について2名が改善した。口腔粘膜細胞診による口腔粘膜の状態は11名が改善した。 食用ゴマ油を用いた口腔の清拭は,非経口摂取で口腔健康管理に全介助を要する高齢者の口腔内微生物を減少させ,口腔粘膜の状態を改善させる点で有効であると考えられた。 今後,より多くの対象者に長期的に実施したときの効果について明らかにしていく必要がある。
著者
古賀 幹朗 西尾 淳 中山 鎭秀 山本 卓明
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.721-724, 2022-09-25 (Released:2022-11-07)
参考文献数
8

【目的】当科で経験した7例の血管平滑筋腫の臨床像,MRI所見,病理組織像を検討する.【対象と方法】2016年1月から2021年4月までに病理組織学的に血管平滑筋腫と確定診断された7例(男性3例,女性4例,平均年齢60.1歳)を対象に発生部位,局在,疼痛の有無,チネル兆候の有無,自覚時から生検あるいは手術までの期間,術前X線所見,術前MRI所見,病理所見,再発の有無を調査した.【結果】発生部位は足関節・足部4例,下腿2例,膝部1例で,局在は全て皮下であった.疼痛があるものは6例,チネル兆候は全て陰性であった.MRI検査は全例で施行され,腫瘤はT1強調像で低~等信号,T2強調像で不均一な高信号を示した.造影MRI検査が施行された4例では全て強い造影効果を認めた.6例で辺縁切除が行われ,再発はなかった.1例は生検のみであった.病理所見において森本の分類では全例solid typeであった.【結論】血管平滑筋腫は下肢の皮下に発生する有痛性軟部腫瘤の鑑別診断として考慮すべき疾患である.