著者
西尾 祥子
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.41-46, 2013-08-31

本研究では2006年のサッカーワールドカップドイツ大会における「パブリック・ビューイング」のドイツ人参加者への聞き取り調査を通じ,パブリック・ビューイングの役割を語る上で重要な争点を提示する。これまでテレビ放送の介在するメディア・イベント研究において,テレビ番組の集団的視聴により視聴者の集合的アイデンティティが形成されることが指摘されてきたが,本調査では,集合的アイデンティティと同時に視聴者の自己アイデンティティの形成がなされることが明らかになった。
著者
西尾 祥子
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.86-92, 2009-09-15
被引用文献数
1

本論文は,巨大なイベントへの新しい関与形態として近年登場したパブリック・ビューイングについて,ドイツを中心に行われている先行研究の検討と,日本における映像メディア史のマクロ的な観点からの考察を通して,その構成要素を解明することを目的としている。パブリック・ビューイングはこれからますます注目される視聴形態の一つである。映像メディアを「イベント再イベント化」する装置として捉えた上で,筆者は,パブリック・ビューイングを,コンテンツの予測不可能性の高さ,場所の脱個人性の高さ,オーディエンスの匿名性の高さという三要素から成り立つと考える。
著者
西尾 祥子
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究は、家庭でも見られるテレビ番組を公共の場で集団視聴する「パブリック・ビューイング」と呼ばれる21世紀の新しい集合行為を、日独オーディエンスの比較分析によって実態解明し、狭義には「メディア・イベント」研究の新たな理論構築を目指すものである。本年度は、前年度までに行った社会調査を踏まえ、データの分析を完了させ、データと文献調査を踏まえた従来メディア・イベント論の問題指摘およびメディア・イベント論の新たな可能性について明らかにし、最終的には本研究の成果として博士学位論文を提出することが課題であった。今年度行った具体的な研究内容は下記の通りである。1. 博士学位論文の完成 : 博士学位論文「パブリック・ビューイング体験の日独比較分析-メディア・イベント論の再構築を目指して-」が、受け入れ研究機関である名古屋大学大学院国際言語文化研究科に受理され、申請者は平成26年3月25日に博士(学術)の学位を取得した。2. 得られた成果についての国内外での学会発表等学位論文として研究を完成させるにあたって、学会発表および学術論文の執筆によって自己の研究のフィードバックを受け、得られたアドバイスを最終的に博士学位論文に反映させることができた。3. ドイツ地域における文献調査およびフィールドワーク博士学位論文を完成させるにあたって、ドイツ地域にて文献調査およびフィールドワークを行った。4. 異分野研究者への研究成果の共有本研究によって得られた成果や、本研究が依拠するメディア論・社会学について、領域内だけではなく多様な分野の研究者と共有することができた。