著者
塩澤 秀和 西山 晴彦 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.2331-2342, 1997-11-15
参考文献数
23
被引用文献数
22

「納豆ビュー」は,WWW空間を3次元グラフィックスを用いて視覚化し,「持ち上げ(つまみ上げ)」という対話的な操作によって情報どうしの関連性を多面的に俯瞰できるようにする.ページ(ノード)とリンクは,それぞれ球とそれを結ぶ線で表現され,まず3次元空間内のほぼ平面上に配置される.ユーザは錯綜するリンクの中から注目したいノードを任意に選択し,マウスによってそれを持ち上げることができる.すると,関連する一連のノードがつられて持ち上がるので,複雑なグラフ構造を好みに応じて解きほぐして調べることができる.納豆ビューは,単なる視覚化を超え,ユーザの興味に応じた対話的な操作が可能であり,レイアウト非依存なので巨大な分散情報空間の逐次的なアクセスにも適する.本論文では,この納豆ビューを紹介し,さらにその有効性を考察するために情報視覚化技術を,関心度,操作体系の一貫性,操作方向への意味づけの3つの相互関係という観点から考察し,その中での納豆ビューの位置づけを試みる.The Natto View visualizes the WWW space by 3-dimensional graphics,and its interactive "lift-up" operation enables users to view connections and context of information from various interests.Each node,or the Web page,and hyperlink represents respectively ball and wire connecting thier,and at first they are placed roughly on a plane in 3-dimensional space.The user can select and focus arbitrary node and lift it up with a mouse.Then the nodes to which the focused node links are lifted up together,thus the complex network is disentangled by the user's interest.The Natto View supports not only visualization but also interactive operations on user's demand,and it is suitable for incremental access to huge distributed information networks because of its independence from the layout of its nodes.In this paper,we describe the Natto View and its evaluation by a classification of information visualizations according to the relationship among degree of interest,consistency of operations and directional semantics of operations.
著者
武藤 裕子 西山 晴彦 大久保 達真 斉藤 伸介 岡田 謙一 松下 温
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.105-106, 1997-03-12

近年の情報機器の高性能化や低価格化, WWW(World Wide Web)の普及により, マルチメディア情報発信の機会が増加してきた. これにともない, 一般ユーザでも簡単にマルチメディア情報を創造できる環境の実現が期待されている. しかし, 現在のマルチメディア情報制作は, 複雑で時間のかかる退屈な作業であると報告されている. この問題を解決し, 誰でも簡単にマルチメディア情報を制作できる環境として, 扱いやすい検索キー, ユーザの感性を考慮した検索という特徴を持つ必要がある. そこで, ユーザの感性を考慮した検索を行なえるようなマルチメディア制作環境を実現するために,「山」「地面」などのように画像を部品ごとに管理し, ユーザのイメージを入力することにより, イメージに合った部品を検索して合成するシステムを提案する. これにより, 一般ユーザでも簡単に, マルチメディア情報を創り出すことができる.
著者
西山 晴彦 大久保達真 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.997-1007, 1997-05-15
被引用文献数
13

人間は想像力に富んだ動物であり,提示された情報が不十分であると,想像によりそれを補おうとする.たとえば,ラジオの野球中継を聞いているとその状況を思い浮かべようとし,美しい風景の写真を見るとその音を想像する.このような提示された情報をもとに不足している情報を創出することを「メディアの補完」と呼ぶ.人間はこのメディアの補完を生活の中で自然に行っている.本研究では,言語メディアから画像メディアの補完に焦点を当て,風景描写文から風景画像を創り出すシステムPicnyckを提案する.風景画像は,用いられる構図により我々に異なった印象を与える.たとえば同じ山の風景でも,富士山なら「雄大な」感じがするし,日本アルプスのようにギザギザした山は「荒々しい」感じがする.風景の構図が人間の感性に影響を与えることは,古くから知られており,画家や写真家といった美術専門家により研究され,体系化されている.筆者らは風景画像を作成するに際し,この構図が感性に与える影響を考慮した.評価の結果,Picnyckを用いることにより,風景描写文から人間の感性を考慮した風景画像が作成できることが分かった.Recently,the word "multimedia"is highlighted as an environment that can process image,audio,data and text.Even though it is so difficult to transfer human's subjective impression just through characters in the past,the multimedia environment makes it possible to transfer that in addition to normal communication.To lessen the time and trouble of multimedia authoring,we propose a scheme to complement media environment and apply it to multimedia authoring.It is well known that composition of landscape pictures has influence on human feeling.And the relationship between the compositions of landscape pictures and human feeling has been researched by artists for a long time,and systematized.We implemented "Picnyck"to demonstrate a scheme that complement media environment.The system has database of picture parts which are related landscape pictures such as "mountain","sea","cow"and so on.The system retrieves suitable picture parts from database and synthesises them into one landscape picture.By this technique,it is possible that general user create multimedia information at ease.
著者
塩澤 秀和 西山 晴彦 松下 温
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.127-128, 1994-03-07

我々は、従来から、「絵」を検索するには「絵」を描いて見せるのが最も自然な方法である、という立場からレイアウト検索というものを提案してきた。しかし、略画を描くだけではその雰囲気のようなものを十分に表すことができない。人間は画像を表現するとき、それから受ける「明るい」であるとか「どんよりしている」であるといった「印象」を付加する。絵だけでなく、言葉をもちいることで、人間はあいまいでおおざっぱなイメージを表そうとするのである。この結果のもとに、我々は画像テータベースにおけるの表現形式と検索方式について、新たな方法を提案する。その2本の柱が「レイアウト検索」と「印象語による検索」である。