著者
西山 純一
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.201-209, 2017-03-15 (Released:2017-04-21)
参考文献数
13

手術体位が原因となり周術期に種々の合併症が発生することはよく知られている.非麻酔下では無理な体位になるとしびれや痛みなどによって患者自身が体を動かして障害を回避することが可能であるが,麻酔中は非生理的な状態となっていて確認が難しく,時に重篤な障害を引き起こす.私たち麻酔科医は,手術体位についての正しい知識を身につけ,体位に関連したさまざまな合併症について,発生要因の理解と適切な予防対策を行う必要がある.本稿では,体位に関連した合併症として周術期末梢神経障害,組織・臓器機能障害について説明し,各種合併症予防の観点から麻酔期管理上の注意すべき点を解説する.
著者
西山 純一
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.902-909, 2013 (Released:2013-12-14)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

病院機能分化に伴う急性期医療の集約は,地域基幹病院への患者集中を誘導し,各施設では急増する手術を限られた人員で行うための,効率的な手術・集中治療の充実が重要視されている.システムの再構築,運用方法の見直し,業務環境の整備による効率化は,少ない人材を有効利用して良好な実績を実現するが,効率化により安全性が損なわれてはならず,生体の生命基礎の制御を専門とする麻酔科医が安全担保を前提に効率化を主導することは理にかなっている.本稿では,効率化への対策の一つとして,手術室の一足制について,その利便性,空間的メリットとともに手術室の空気清浄度から見た安全性について解説する.
著者
西山 純一
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.345-349, 2019-05-15 (Released:2019-06-19)
参考文献数
13

私立総合大学医学部である当施設は,学校法人収入で付属病院収入が学生納付金や補助金を上回っている.内訳では手術・集中治療の収益が高く,効率的手術室運営が大学経営に大きく寄与している.大学は元来収益性とは無縁だが,本学は付属病院の事業性を無視できず,経営が医療収入に依存した構造となっている.一方,手術・集中治療領域の収益は病院収入の多くを占め,多施設で手術室を有効利用し件数を増加させる工夫がされているが,近年,ロボット手術などの低侵襲手術やハイブリッド手術室などの高機能手術室が求められ,手術室運営の効率化ならびに手術患者の安全管理に,部屋・機器・人の限定や患者の高齢化・ハイリスク化といった新たな課題を投げかけている.
著者
西山 純一 長谷川 啓一郎 吉野 利尋 鈴木 利保
出版者
The Japanese Society of Reanimatology
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.118-121, 2006-07-20

東海大学医学部付属病院において, 2004年7月からの1年間に6名の救急救命士が気管挿管実習を行った。対象総患者数184名 (男性95名: 女性89名) , 平均年齢48.5±16.0歳, IC取得率約75%, 平均気管挿管成功率89.3±6.9%, 合併症発生率1.1% (口唇損傷2例) であった。気管挿管成功30例達成までの症例数は平均30.7±0.8例, 実習期間平均46.2±13, 4日という結果であり, 実習は約一ヶ月半の期間を必要とした。全員が実習を修了し, 認定登録を受けた。実習は重大な合併症の発生なく安全に行えたが, 実習システムは, 手技主体の指導になること, 規定症例数達成までの実習期間, 症例数に制限がなく, 実習参加が修了認定と同義となっていること, 実習が麻酔科医の献身性によってなりたっていること等の問題があり, 実習施設数の増加, 指導医の業務負担軽減, 行政等による広報他, いくつかの改善策が必要と考えられた。