著者
西島 衛治
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.141-155, 2004

今回の報告は、これまでの研究から得られた自閉症児の教育と空間の使われ方の動向の検証をより確実なものとするための調査と同時に行った教室空間の使われ方の実態の分析を行い、最近の動向やTEACCHプログラムの教育状の導入状況を含めての変化を確認することを目的とする。 2002年7月から8月にかけた全国情緒障害学級調査でもTEACCHプログラムによる教育が最も多く見られ、自閉症児、LD児、ADHD児の合計が当該学級の約4分の3を占めていた。 2000年の調査と同じ調査項目を使用した結果、クロス集計にも同じ傾向が見られた。今回の調査時に平面図を回収したところ、TEACCHプログラムによる学習の構造化を実現するためには、家具や備品などを利用したコーナー化や可動間仕切や固定間仕切壁の設置などによる物理的空間の構造化が見受けられた。 今回の調査から現状の情緒障害学級の教室は、自閉症児を主とする発達障害児を考慮した教育とそのための空間分化の工夫や空間の構造化が進められていることが明らかになった。