著者
鈴木 陽子 すずき ようこ Suzuki Youko 沖縄大学大学院現代沖縄研究科 沖縄大学地域研究所特別研究員 沖縄大学地域研究所特別研究員 沖縄愛楽園交流会館研究員
出版者
沖縄大学地域研究所
雑誌
地域研究 = Regional studies (ISSN:18812082)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-19, 2016-03

沖縄に設立されたハンセン病療養所、国頭愛楽園で、開園時に収容された患者が起こした事件を、入所者2集団と献身的な職員のそれぞれの主体性が絡み合ったものとしてとらえ、事件をめぐる、それぞれの集団の主体的な行動と集団間の関係を入所者の証言、園機関誌などから分析する。本稿は、沖縄に設立されたハンセン病療養所、国頭愛楽園(以下、愛楽園)開園時に収容された患者が起こした事件を、園内の3集団それぞれの主体性が絡み合ったものとしてとらえ、事件をめぐる、それぞれの集団の主体的な行動と集団間の関係を入所者の証言、園機関誌などから分析する。1938年に設立された愛楽園は患者自身が安心して暮らせる居場所を求めて設立した療養所を前身とし、献身的に職員は働いた。それにもかかわらず、1940年、開園時に収容された患者たちは、一心会事件とよばれる組織的なストライキを起こした。 結果、一心会を中心とする闘争では、療養所を求めた患者集団、献身的であろうとした職員集団、収容された患者集団がそれぞれに主体的に行動していたことが明らかになった。療養所の設立を求めて動いた患者集団は職員とともにより良い療養所を目指したが、それは入所者を抑圧し、管理することにもなった。これに対し、開園時に収容された患者集団は抵抗をしたが、隔離政策下、排除が過酷になる集落へ追放された。各集団の主体性の背後には、差別と抑圧の重層的な構造があることがあぶりだされ、その中で、3集団それぞれの、肯定的に生きることを求めた行動が絡み合ったことが考察された。
著者
近藤 真里子 鈴江 妃佐子 河合 靖子 鈴木 陽子 大堀 裕子 市川 芳枝 牧野 トモエ 中村 あつ子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.117, 2008

〈緒言〉あつみの郷は老健を中心に、在宅サービスの他、介護予防サービス事業所などからなる福祉複合施設である。看護を中心とした各事業所代表からなる感染防止対策委員会では、感染症対策の基本である手洗いと感染症の基礎知識を中心に毎年勉強会を開催し、その効果として手洗いの意識調査と実態調査をしてきた。認識度と実施率は年々上昇し、勉強会の効果を実感していた。ところが、平成18年秋、あつみの郷の老健内で短期入所利用者から感染性胃腸炎の発症が始まり、関わった職員・利用者へと感染が拡大し、結果として利用者37名、職員10名が感染した。感染拡大の原因として、知識不足から職員が伝播者となり感染が拡大したことが大きな原因と考えられ、感染防止対策委員会の力不足を思い知らされた。終息後、職員にアンケート調査した結果をもとに、19年度の活動計画をたて、その結果感染症の発生をゼロにすることができたので報告する。<BR>〈方法と効果〉活動計画(1)感染症対応時フロー整備。今まで感染対応のフローが統一されていなかったので発症報告から、ケアまでの流れを整備した。これにより、各事業所間の感染情報も共有化されるようになった。(2)勉強会の実施。5月に標準予防策など感染症について、特に手洗い方法の手技についてビデオ学習を取りいれ、11月はノロウイルスの予防と発生時の対応および消毒方法を実技指導した。勉強会の内容と、新聞等の感染症発生情報等を常時掲示板を使って、継続して職員周知した。(3)手洗いの調査。職員が使用するゾーンの手洗い蛇口やドアノブの汚染度を大腸菌群とブドウ球菌群の拭き取り簡易調査を毎月実施し、検査結果を掲示した。検査を始めて3ケ月は、特に大腸菌群が多数検出され、汚染状況に大変驚いたが、2回の勉強会、毎月の検査結果の公表が効果あったか、徐々に菌の検出は減少した。職員が手洗いの必要性と、手洗い実施のタイミングを理解した結果と思われる。(4)外部からのウイルス侵入防止。外部からのウイルス侵入を遮断するため、利用者家族を始め、出入り業者へもノロウイルス感染予防のための協力依頼文書を10月に配布した。施設内においては発生に備え、仮に発生しても混乱したり、拡大しないように消毒マニュアルと消毒セットを各トイレに準備し、利用者および職員から疑いのある症状が発生した場合の対応も掲示した。(5)職員の感染症に関する習熟度調査。年間を通し職員の感染に関する知識変化を把握するため、基礎知識と各感染予防法ごとに理解度を点数化し、5月の勉強会前と一年間の活動後とで習熟度を調査した。介護・看護など職種別に統計学解析に基づきT検定を実施した結果、いずれの職種も習熟度は有意(p<0.05)に上昇し、これは活動による効果と思われる。<BR>以上の様に年間を通し活動を実施した結果、平成19年の利用者発症は0、家族内感染職員は2名あったが、施設内での感染は防止することができた。集団発生しなかった理由として感染疑い利用者への対応が早かったことが57.1%、次に予防と対策の知識が根付いたことが35.7%になった。実際に、突然の熱発者や嘔吐発症者にも迅速に感染症対応するなど職員の危機意識が認められた。<BR>〈結論〉一年間の感染防止活動により、アウトブレイクを防止することができた。これは職員の意識改革による影響が非常に大きい。今後も施設全体で感染に関する情報の共有化を図り、啓蒙活動を継続し職員の意識を高め、引き続き感染防止に努力して行きたい。<BR>
著者
鈴木 陽子
出版者
東洋大学法学会
雑誌
東洋法学 = Toyohogaku (ISSN:05640245)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.107-119, 2014-01-15
著者
竹内 政保 川村 三郎 菅原 正義 鈴木 陽子 蔀 花雄 尾形 ひろ美 太田 冨貴雄 綾野 雄幸
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.165-171, 1987-08-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

トウモロコシ外皮から調製したDF素材 (RCB) をラットに投与し, 食物残渣の腸内通過時間に及ぼす影響, ならびにRCBを添加したビスケットを女子大生 (221人) に摂食させ, 排便状況をアンケート調査により調べた。1) 飼料中に, RCBをNDF含量5%レベルで添加して成熟ラットに投与し, 食物残渣の腸内通過時間を測定した。糞が出終わるまでの時間は, DF無添加群50.8±1.2時間に比して, RCB群32.5±1.2時間と有意に短縮された。また, 糞の水分含量もDF無添加群40.6±1.6%に比べて, RCB群46.0±0.3%と有意に高い値を示した。RCBは比較として用いたWBとほとんど同じ結果を示した。2) 女子大生 (18~19歳) を被験者とし, 1日当たり5.5gのDFを強化したRCB添加ビスケットを2週間継続して摂食させ, 排便状況について調べた。その結果, 毎日排便のある人が37.6%から60.2%に増加した。被験者のうち, 便秘症とみなされる人は25.8%含まれていたが, 1週間のビスケットの摂取により, その59.6%の人に便秘改善効果が認められた。