著者
山根 律子 水戸 義明 花沢 恵子 松崎 みどり 田中 美郷
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.172-185, 1990-04-25 (Released:2010-06-22)
参考文献数
9
被引用文献数
3 5

言語障害児における随意運動機能の発達を診断する一方法として, 田中, 西山らが考案した随意運動発達検査法を改訂した.本改訂では, 手指, 顔面・口腔, 躯幹・上下肢の3領域について, 計40の検査項目を設定し, 2歳0ヵ月から6歳11ヵ月までの健常児723名に同検査項目を実施した.この検査結果から, 各検査項目ごとの加齢に伴う達成傾向を検討したが, 舌運動に関わる一項目を除き, いずれも発達に伴い獲得される行動であることが示された.さらに, 健常発達からの逸脱の有無についての指標を得るために, 各検査項目ごとに, 通過率を基にしたプロビット変換を行い, 90%のこどもが達成する月齢を算出した.そして, これらのデータを基に, 臨床診断法として, 改訂版随意運動発達検査を構成した.
著者
水本 深喜 山根 律子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.254-265, 2010-09-20 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
7

本研究では,近年特に距離の近さを増しているとされる母娘関係に注目し,その距離が成人期へ移行しようとしている娘の自立や適応にどのように関わっているのかを明らかにする。これにあたり,大学生女子(n=173)とその母親(n=149)から質問紙調査により収集したペアデータを用い,青年期から成人期への移行期にある女性とその母親との距離にどのような特性があるのかを明らかにし,これらと女性の自立や適応との関連性を検討した。まず,母親との距離と精神的自立の各因子のプロフィールより,母娘関係を「密着型」,「依存型」,「母子関係疎型」,「自立型」に類型化した。次にこの類型を基に母親との距離がどのような場合に娘の自立や適応に促進的に働き,どのような場合に抑制的に働くのかを探った。その結果,母娘間距離には,遠近といった量的特性のみでなく,その関係性において娘が自己統制感を持つことができているかどうかという質的特性があり,これらが娘の自立や適応と関わっていることが明らかになった。さらに,この距離認知の母娘間におけるズレを検討した結果,このズレはその関係性における情緒的絆と関連して娘の自立や適応に影響を与える要因となるような個体差的側面と,自立に向けて関係性が変化していることを示す発達的側面を反映していると考えられ,自立の時期の親子関係を理解する手がかりとなり得ることが示唆された。
著者
山根 律子 水戸 義明 花沢 恵子 松崎 みどり 田中 美郷
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.172-185, 1990
被引用文献数
3 5

言語障害児における随意運動機能の発達を診断する一方法として, 田中, 西山らが考案した随意運動発達検査法を改訂した.本改訂では, 手指, 顔面・口腔, 躯幹・上下肢の3領域について, 計40の検査項目を設定し, 2歳0ヵ月から6歳11ヵ月までの健常児723名に同検査項目を実施した.この検査結果から, 各検査項目ごとの加齢に伴う達成傾向を検討したが, 舌運動に関わる一項目を除き, いずれも発達に伴い獲得される行動であることが示された.さらに, 健常発達からの逸脱の有無についての指標を得るために, 各検査項目ごとに, 通過率を基にしたプロビット変換を行い, 90%のこどもが達成する月齢を算出した.そして, これらのデータを基に, 臨床診断法として, 改訂版随意運動発達検査を構成した.
著者
山根 律子 Ritsuko Yamane つくば国際大学社会福祉学科
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Tsukuba International University (ISSN:13412101)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.59-71, 1996-03-25

Specific language disorder is a syndrom showing a delay or deviant of language development not accompaning other disorders such as mental retardation, sensory disorder and so on. Recently, it has been suggested that specific language disorders are divided into several subtypes. This study reviews the findings about these subtypes, and makes the following suggestions toward further reseach with specific language disordes in Japan. 1. To make the general idea of specific language disorder commonly understood. 2. An integration with the follow-up studies after a developmental screening check and case studies by languge therapists. 3. To unify the format of discriptions about the basic profile of language development in case studies. 4. Developing a language development test which can evaluate analytically the young children's language development.
著者
山根 律子
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13412078)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.149-163, 1998-03-25

This is a follow-up study of 4 children with handicaps in both language comprehension and language production. They don't have mentally handicaps, nor have sensory handicaps. It is considered that their language handicaps are not pervasive disorder, but specific. As a result that followed the language development of 4 cases, it is suggested that 3 cases have difficulty in semantic area and one case has difficulty in phonological area. Though all cases showed the delay of verbal intelligence in the infancy, they caught up with normal range by 10 yers old. As these result, it is supported that specific language disorders wll be divided into some types. It is necessary to make preparation for intervention program corresponding to subtypes of specific language disorders.
著者
山根 律子
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.15-25, 1983-09-01

自閉症児の認知過程における特性を明らかにするために、本研究では自閉症児における短期記憶能力を視覚からのインプット刺激について検討した。実験は遅延弁別反応を継時提示、10秒遅延て30秒遅延の3条件で行なった。刺激は、処理コードに視覚手がかりが有効なものと、聴覚手がかりが有効なものの2組を使用して比較検討した。第1実験では対照群として一般3歳児が、第2実験では自閉症児群とMAマッチングした精神遅滞児群、MA5歳代の普通児群が設定された。その結果、自閉症児は刺激が視覚的にインプットされた場合でも、普通児と同様にコードとしては聴覚的なコードを使用可能であることが明らかにされた。一方て視覚的なコードに関しては、普通児に比べて把持が劣る傾向がみられたが、これは精神遅滞児と類似した傾向であった。従ってて自閉症児の示す特有な認知障害は、さらに長期記憶も含めたレベルの障害に起因するものと考えられた。