著者
畠 俊郎 高橋 裕里香 西田 洋巳 安田 尚登
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.151-160, 2017 (Released:2017-03-31)
参考文献数
18

近年,日本近海に存在する新しいエネルギー資源としてメタンハイドレートが注目されている。このメタンハイドレートを分解してメタンガスを生産する場合,堆積層の強度低下等に伴う地盤変形によって生産活動等が阻害される可能性が危惧されている。本研究では,この地盤変形の抑制に日本近海で採取したメタンハイドレート胚胎層サンプルから新たに単離した微生物の代謝機能を活用する生産支援技術の適用性について検討した。太平洋側および日本海側で採取したメタンハイドレート胚胎層サンプルを対象に尿素の加水分解酵素であるウレアーゼ生産能を持つ微生物の単離を行うとともに,この単離微生物を対象として模擬堆積物の間隙内にカルサイトを析出させる室内試験を実施した。その結果,カルサイトの結晶析出による粒度分布の変化および粘着力の増加に伴う強度増進効果が期待できることが明らかとなった。