著者
橋本 幸平 日髙 敏哉 渡邊 久美子 西野 諒 山田 智 戸口 明宏 大塚 喜人
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.437-442, 2019-07-25 (Released:2019-07-27)
参考文献数
14

ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia; PCP)の原因菌であるPneumocystis jiroveciiは人工培養法が確立されていないため,塗抹検査や血清学的検査,遺伝学的検査等により診断が実施されている。本検討で実施した検査と診断結果との一致率はloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法で感度94.6%,特異度94.7%,ディフ・クイック(Diff-Quik)染色で感度67.6%,特異度96.5%,β-Dグルカン検査で感度89.1%,特異度86.0%となった。3法を組み合わせて診断結果と比較した場合,2法以上陽性の症例は全例PCP群と診断されていた。また,PCP群において3法の検査が全て陰性であった症例は存在しなかった。LAMP法は感度の高い検査であるが,コロナイゼーションの可能性も否定できないため,単独でPCP診断を実施するのは困難である。これらの検査を併用することでPCP診断の精度を上げることができ,早期診断,治療につながることが期待できる。