- 著者
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小澤 優貴
大塚 喜人
- 出版者
- 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
- 雑誌
- 医学検査 (ISSN:09158669)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.4, pp.817-823, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
- 参考文献数
- 7
アナフィラキシーショックに伴うST上昇型の心電図変化を認め,Kounis症候群が疑われた2症例を経験した。症例1:70歳の女性,造影剤使用直後のアナフィラキシーショックにより,救命救急センターへ搬送された。接触時,意識レベルJCS I-3,血圧測定不可であり,心電図検査にて第II,第III誘導,aVF誘導のST上昇,V1からV5誘導でのST低下を認めた。ACSの合併が疑われたが,冠動脈の有意狭窄は認められず,ACSは否定的であったことより,造影剤によるアナフィラキシーショックによって,心電図検査のST上昇ならびに低下が顕性化されたと考えられた。症例2:59歳の男性,近医受診後に非ピリン系感冒剤顆粒とセフカペン ピボキシル塩酸塩水和物錠を内服したところ,アナフィラキシー反応が出現し,心電図検査において第II,第III誘導,aVfのST上昇を認めた。アナフィラキシーショックならびに 急性冠症候群が疑われたため,当院に紹介搬送となった。冠動脈造影では有意狭窄は認められず,アセチルコリン負荷試験は陰性であった。リンパ球幼若化反応において,それぞれ非ピリン系感冒剤顆粒とセフカペン ピボキシル塩酸塩水和物錠で陽性反応を示したことから,アナフィラキシーショックによる心電図変化と結論付けられた。Kounis症候群は,アレルギー反応に惹起されて急性冠症候群を発症する稀な疾患であることから,重篤な病態を呈する場合にはKounis症候群の可能性も念頭におき,検査・治療・観察を行う必要があると考えられる。