著者
山川 聡 上村 治 永井 琢人 見松 はるか 日比 喜子
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.19-22, 2009-04-15 (Released:2009-11-10)
参考文献数
3

今回,われわれの施設において小児ネフローゼ症候群患児における年間ステロイド総投与量と身長の伸び率に関しての検討を行った。対象は当施設で管理中の過去1年間の成長記録が存在する特発性ネフローゼ症候群患児54例 (FSGS確定を5例含む) で,1年間の総ステロイド投与量と身長増加率との関係について後方視的検討を行った。患児の内訳は,男児35例,女児19例で,観察終了時の年齢は3.7~17.8歳 (中央値9.3歳) であった。免疫抑制剤併用は54例中42例〔シクロスポリン (CsA) 単独22例,CsA+ミコフェノール酸モフェチル (MMF) 9例,CsA+ミゾリビン (MZ) 4例,MZ単独7例〕であった。年間平均プレドニゾロン (PSL) 量 (mg/kg/day) は0.23mg/kg/day (0~0.88mg/kg/day) であった。ステロイドの投与量が多くなると身長増加率は低下する傾向を認めた。また,PSL投与量が少ない場合は身長増加率への影響も少ない可能性が示された。成長の面から考えて当施設での免疫抑制剤併用の基準としているPSL投与量1mg/kg隔日 (=0.5mg/kg/day連日) 以上は妥当であると考えた。