著者
森 和俊 親泊 政一 原田 彰宏 南野 哲男
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

小胞体膜結合性転写因子ATF6は、小胞体ストレスを感知するとゴルジ装置へ移行し、プロテオリシスによる活性化を受ける。この小胞体ストレスの感知にATF6内腔領域のみが十分であることを証明した。ATF6αノックアウトマウスは正常に発育するが、腹腔に小胞体ストレス誘導剤を投与すると脂肪肝を形成して死亡する。その原因として、肝臓からの脂肪の放出を担う超低密度リポタンパク質形成に関与するApolipoprotein B-100の品質管理にATF6α非存在下では問題が生じることを突き止めた。
著者
伊藤 太二 山﨑 俊介 太田 一樹 大村 正史 親泊 政一
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.63-68, 2015
被引用文献数
1

合成洗剤の好気性・嫌気性微生物分解や, 合成樹脂等に使用される酸化防止剤の酸化・加水分解などにより生成されるノニルフェノールは, 内分泌攪乱化学物質の一つである。このため, 食品へのノニルフェノール混入によるヒト内分泌系に対する攪乱作用の検証とその分子機構の解明が重要である。これまでにノニルフェノールは, 男性生殖器系 (精巣・前立腺) を主な標的とし, 雄の親マウスへの投与により, F1およびF2の雄マウスでの精巣・前立腺の縮退や精子分化不全が報告されている。本研究では, 前立腺でのAndrogen受容体 (AR) による転写活性化にも必要なヒストンアセチル化酵素AIB1のホルモン受容体結合領域に対して, ノニルフェノール存在下で結合するタンパク質をヒト正常前立腺cDNAライブラリーから探索して, ヒトタンパク質NPR1 (<u>N</u>onyl<u>p</u>henol <u>R</u>eceptor <u>1</u>) を単離した。<i>in vitro</i>での分子間相互作用解析の結果, NPR1はノニルフェノールを高い特異性で結合した。従って, エストロゲン受容体を介した機構に加え, NPR1を介した新たな内分泌攪乱機構の存在が示唆された。