著者
角倉 弘行
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.866-870, 2012 (Released:2013-02-12)
参考文献数
4

無痛分娩を普及させることにより分娩の安全性が向上する理由として,以下の4つが考えられる.無痛分娩を希望する妊婦に対して麻酔科医が分娩前診察を行うことにより,緊急の帝王切開術が必要になった場合でも余裕をもって対処することが可能となる.実際に硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した妊婦では,緊急帝王切開の際にも全身麻酔を避けることができる.無痛分娩が普及すれば分娩フロアーに麻酔科医を配置できるようになるので,無痛分娩を選択していない妊婦の分娩の安全性も向上する.さらに無痛分娩が普及して産科麻酔に専従する麻酔科医の数が増えれば,産科麻酔の教育の機会が増えるだけでなく教育の質も向上する.
著者
岡原 祥子 角倉 弘行
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.556-561, 2018-07-15 (Released:2018-08-29)

麻酔科医は,手術室での麻酔を通して全身管理には長けているが,無痛分娩の安全性を担保するためには,それに加えて周産期医学の深い理解が不可欠である.また,一緒に働く産科医や助産師との円滑なコミュニケーションも重要なポイントとなる.わが国では無痛分娩はいまだ広く普及していないが,そのニーズは年々高まっている.本稿では無痛分娩の具体的な方法についても紹介するが,無痛分娩を実践する際には無痛分娩を実践している施設での産科麻酔の研修を済ませてから実施することが強く求められる.
著者
角倉 弘行
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.152-158, 2008 (Released:2008-02-16)
参考文献数
6

硬膜外麻酔による無痛分娩を安全確実に行うためには, 十分な初期鎮痛が達成されるまで初期投与を行った後に, 児を娩出するまで必要に応じて追加投与を行う必要がある. 持続投与 (continuous epidural infusion: CEI) と患者自己疼痛管理 (patient controlled epidural analgesia: PCEA) による硬膜外追加投与は, 局所麻酔薬の総使用量を減少させると同時に, より良い鎮痛を提供することを可能にし, 無痛分娩の安全性と快適性を大きく向上させた. 本稿ではCEIとPCEAの比較を行うが, いずれの方法を選択するにしても, 麻酔科医が産婦のもとを頻回に訪れ, 鎮痛の状況を確認し適切に対応すべきである.
著者
牧野 真太郎 平井 千裕 板倉 敦夫 竹田 省 角倉 弘行
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.226-231, 2017-03-15 (Released:2017-04-21)

当院における産科麻酔チーム設立前後の周産期医療の変化は,予想以上に大きいものであり,医師のみならず助産師にも大きく影響したといえる.その変化は,症例数・産科医の技術・医療体制・カンファレンス・個々の意識という,施設の医療レベルを支える重要なものであった.何よりも,産科と麻酔科の両科の立場からの意見・情報を気軽に求めることが可能になった環境・意識の変化が,内科合併症も多い当院のハイリスク妊婦に対しても,安全な医療を提供できる一番の変化といえる.本稿では,その変化について具体的に述べさせていただく.