著者
角村 悟 西橋 政秀 楠 研一
出版者
Japan Meteorological Agency / Meteorological Research Institute
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.25-37, 2016 (Released:2016-07-04)
参考文献数
34
被引用文献数
2

落雷に係る電荷について、東北地方庄内地域での地上電場観測に基づき調査した。最初、理論値を観測値に最小二乗法であわせるため要求される細かさについて議論した。高度0.1 km毎の電荷による理論的な電場を与え、適切な解を得るため必要となる水平方向の分解能を提案した。提案された空間分解能により2012年の暖・寒候期に庄内で発生した19の落雷に係る地上の電場により電荷の位置と量を推定した。推定された負極性落雷の電荷の推定位置の2事例を大気温度、ドップラーレーダーおよびVHF帯雷標定システムで検知された電磁波放射源の分布と比較した。1つの事例では、推定された電荷は落雷を引き起こす負電荷の性質を表していた。他方では、電荷が低高度に求まり、通常の負極性落雷モデルでは説明できなかった。本研究で記された数値的電荷推定の議論は、少ない地上電場観測を元にした落雷に関係する電荷の今後の研究にとって有効な情報になると考えられる。