著者
鳥居 昭久 黒川 良望 木山 喬博 林 修司 加藤 真弓 木村 菜穂子 荒谷 幸次 神鳥 亮太 一村 桂子 角田 利彦 水谷 綾子 内藤 克之 神谷 友美 岩瀬 ゑり子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.G0960-G0960, 2006

【はじめに】<BR> 2005年夏、岐阜県海津市の長良川国際ボートコースにて、2005ボート世界選手権大会が、アジアで初めて開催された。この大会は、ボート競技の国際大会としては、種目数、エントリー国数においてオリンピックをしのぐ最大の大会である。今回、大会会場のメディカルセンター付属施設として、理学療法室を開設し、参加選手等に対する理学療法サービスを実施する機会を得たので報告する。<BR>【大会概要】<BR> 世界ボート選手権大会は、オリンピックイヤーを除く毎年夏に開催され、主に欧米にて行われていたが、今回、ボート競技の普及などの意味も含めて、アジアで初めて開催された。<BR> 大会開催期間は2005年8月28日から9月4日までであった。また、会場は8月24日から公式に公開され、それに伴い、メディカルセンターおよび理学療法室は8月24日からサービスを開始した。大会参加国は56カ国、参加クルーは、本戦23種目、Adaptive種目4種目に合計319クルーがエントリーした。ちなみに、日本は、開催国ということもあり、史上最多の15種目にエントリーした。<BR> 会場は、岐阜県海津市の特設長良川国際ボートコース(2000m)であり、岐阜、愛知、三重県の県境にある国立木曽三川公園内に位置する。<BR>【理学療法室概要】<BR> 理学療法室は、長良川河川敷に設置されたメディカルセンターテント内に約25m<SUP>2</SUP>の専用スペースを設け、治療用ベッド4台と物理療法機器などを準備した。物理療法機器は電源、給排水などの問題から、温熱・寒冷療法機器のみとし、その他は、徒手療法、運動療法、テーピングなどで対応した。理学療法士は、愛知、三重、岐阜県理学療法士会へボランティアを公募し、12名の理学療法士が、6時から20時までを、3名常駐、2交替で待機した。<BR>【診療状況】<BR> 台風の影響もあり、実質理学療法室が稼働したのは10日間であった。利用した人は、延べ8カ国、28名であった。対象となった訴えは、頚部、肩、肘、腰部、膝などの痛み、下肢や背部の疲労感や筋の緊張などが主で、疲労性、過使用的な原因が多かった。また、特定部位の治療ではなく、コンディショニングに関する要望もみられた。<BR>【感想・問題点】<BR> 利用者は、予想に反して少なかったが、概ね効果的な理学療法が提供できたことで、利用した選手等には好評であった。一方、一部ではあるが、コミュニケーションの問題や、理学療法に対する理解の差から、選手が希望するセラピーと、用意された内容などの違いがあったり、多様なリクエストに対する対応の制限などの問題があった。特定のチームや選手団の帯同サポートと違い、今回のような国際スポーツ大会や、不特定多数が利用する場合の理学療法室設営の課題が明らかになり、今後、同様のケースの参考になることを多く得られた。<BR>
著者
杉浦 令人 和田 弘 櫻井 宏明 鬼頭 良介 合川 善浩 齋藤 有紀 角田 利彦 本谷 郁雄 朴 英浩 田村 亮介 緒方 真己 川原 有貴子 金田 嘉清
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E3P1196, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】平成18年4月に介護保険法が改正された.中でも転倒予防への取り組みは重視されており全国2/3の自治体が地域高齢者を対象に転倒予防教室を実施している.しかし、それらの活動の効果は立証されておらず、さらに要介護高齢者の転倒予防効果はほとんど報告されていない.そこで、本研究の目的は要介護高齢者が行える『安全・楽しく・長く』を念頭に構成した集団リズム運動が心身機能にどのような効果をもたらすのかを検証することである.【対象】M県の通所サービスを利用している要支援1~要介護2の19名(平均年齢/79.9±7.0歳、男:女/7:12)を対象とした.次の項目の該当者は対象外とした.(1)独歩不可能(2)運動の説明が理解困難な認知症を有す(3)急速に進行中の進行性疾患、急性疾患や不安定な慢性疾患、6ヶ月以内の心筋梗塞や下肢骨折(4)ADLで介助を有す方である.対象者を無作為に2群に割付け、個別運動と集団リズム運動を行う群を介入群、個別運動のみを行う群を対照群とした.【方法】介入前と6週後に身長、体重、BMI、握力、膝伸展筋力、坐位体前屈、開眼片脚立位、Functional Reach Test(以下FRT)、Timed Up & Go Test、歩行能力、Profile of Mood States(以下POMS)、Falls Efficacy Scale(以下FES)の測定を行った.個別運動は中川らが考案した運動を採用した.体力測定の結果を基に5~6種類の運動を選択し個別プログラムを作成した.回数は運動毎に8~10回×2~3セット、頻度は週5回、期間は6週間とした.集団リズム運動は第1~3ステージより構成され、全て音楽に合わせて行った.第1ステージでは足踏み、支持面固定での重心移動、スクワット等を行った.第2ステージでは歌詞に合わせ運動を行った.第3ステージでは『1・2・3』と足踏みをし『3』の時、一歩足を出し、それを前後左右へと繰り返した.両運動の強度はBorgScale12~13とし微調整は重錘ベルトにて行った.各群の効果判定として介入前後における体力測定の結果を比較した.介入前後の両群間の比較、さらには体力測定の各項目において変化量を介入前の値で除した値を両群ともに算出しその割合を比較した.尚、本研究は当法人倫理審査委員会の承認を得た.【結果】各群の介入前後を比較したところ介入群では坐位体前屈、FRT、最大歩行速度にて有意な向上が認められた(p<0.05).FESでは有意差は認められなかったが向上傾向を示した.対照群では膝伸展筋力、POMS(T-A)にて有意な向上・改善が認められた(p<0.01).両群間の比較では介入前後ともにFRTにて有意差が認められた(p<0.01).両群間の変化量の比較では有意差は認められなかった.【考察】6週間の短期介入にて介入群では柔軟性、バランス、歩行能力の向上が認められ、また転倒恐怖心が減少傾向を示した.よって、今回提案した集団リズム運動は転倒予防への可能性が示唆された.対照群では下肢筋力の向上が認められ個別プログラムの有用性を再認識した.