著者
戸田 秀彦 戸田 香 木山 喬博 三宅 洋之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.411-415, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2

〔目的〕人工膝関節置換術の術前と術後6週までの膝屈曲可動域(以下ROM)を用い,回復傾向の分析により,術後早期のROMからその後に獲得できるROMを予測することを目的とした.〔対象〕対象は126人190膝(変形性膝関節症(以下OA)81人,122関節;関節リウマチ(以下RA)45人,68関節)とした.〔方法〕疾患に基づきOA群とRA群,また術前ROMに基づき良好群,中間群,不良群の3群に分けて検討した.〔結果〕術前ROMが良好なものは術後も経過がよく,反対に不良なものは術後も悪い傾向であった.術後のROM回復角度は疾患および術前ROMによる差を認めず,回復率は術後2週までに約50%,3週までに約75%を示した.〔結語〕術前ROMは術後ROMに影響を与え,術後2週のROMから,その後に獲得できるROMを予測することが可能である.
著者
岩月 宏泰 室賀 辰夫 木山 喬博 金井 章 石川 敬 篠田 規公雄
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.41-44, 1991-01-10
被引用文献数
2

骨格筋を強制振動すると緊張性振動反射(TVR)により拮抗筋の筋活動が低下する。そこで健常者を対象として, TVR用の加振器を用いて5種類の周波数(40, 60, 80, 100, 120Hz)で振動した際と停止後の拮抗筋の運動ニューロンの興奮性(H反射)を経時的にとらえ, 振動周波数の変動による拮抗筋の筋緊張抑制の影響について検討した。結果:(1)H反射振幅の抑制は振動周波数により振動開始5秒後で約55〜69%, 30秒後で約80〜90%と異なったが, その後2分まで最初の抑制と殆ど変化を認めなかった。(2)振動停止直後からH反射振幅は振動前の約50〜80%まで回復し, 約1分で40Hzは約83%まで回復し, 他の周波数では振動前に戻った。以上のことから, 振動刺激を拮抗筋の筋緊張の抑制として利用する際には, 40Hz近傍の周波数が有効であることが認められた。
著者
鳥居 昭久 黒川 良望 木山 喬博 林 修司 加藤 真弓 木村 菜穂子 荒谷 幸次 神鳥 亮太 一村 桂子 角田 利彦 水谷 綾子 内藤 克之 神谷 友美 岩瀬 ゑり子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.G0960-G0960, 2006

【はじめに】<BR> 2005年夏、岐阜県海津市の長良川国際ボートコースにて、2005ボート世界選手権大会が、アジアで初めて開催された。この大会は、ボート競技の国際大会としては、種目数、エントリー国数においてオリンピックをしのぐ最大の大会である。今回、大会会場のメディカルセンター付属施設として、理学療法室を開設し、参加選手等に対する理学療法サービスを実施する機会を得たので報告する。<BR>【大会概要】<BR> 世界ボート選手権大会は、オリンピックイヤーを除く毎年夏に開催され、主に欧米にて行われていたが、今回、ボート競技の普及などの意味も含めて、アジアで初めて開催された。<BR> 大会開催期間は2005年8月28日から9月4日までであった。また、会場は8月24日から公式に公開され、それに伴い、メディカルセンターおよび理学療法室は8月24日からサービスを開始した。大会参加国は56カ国、参加クルーは、本戦23種目、Adaptive種目4種目に合計319クルーがエントリーした。ちなみに、日本は、開催国ということもあり、史上最多の15種目にエントリーした。<BR> 会場は、岐阜県海津市の特設長良川国際ボートコース(2000m)であり、岐阜、愛知、三重県の県境にある国立木曽三川公園内に位置する。<BR>【理学療法室概要】<BR> 理学療法室は、長良川河川敷に設置されたメディカルセンターテント内に約25m<SUP>2</SUP>の専用スペースを設け、治療用ベッド4台と物理療法機器などを準備した。物理療法機器は電源、給排水などの問題から、温熱・寒冷療法機器のみとし、その他は、徒手療法、運動療法、テーピングなどで対応した。理学療法士は、愛知、三重、岐阜県理学療法士会へボランティアを公募し、12名の理学療法士が、6時から20時までを、3名常駐、2交替で待機した。<BR>【診療状況】<BR> 台風の影響もあり、実質理学療法室が稼働したのは10日間であった。利用した人は、延べ8カ国、28名であった。対象となった訴えは、頚部、肩、肘、腰部、膝などの痛み、下肢や背部の疲労感や筋の緊張などが主で、疲労性、過使用的な原因が多かった。また、特定部位の治療ではなく、コンディショニングに関する要望もみられた。<BR>【感想・問題点】<BR> 利用者は、予想に反して少なかったが、概ね効果的な理学療法が提供できたことで、利用した選手等には好評であった。一方、一部ではあるが、コミュニケーションの問題や、理学療法に対する理解の差から、選手が希望するセラピーと、用意された内容などの違いがあったり、多様なリクエストに対する対応の制限などの問題があった。特定のチームや選手団の帯同サポートと違い、今回のような国際スポーツ大会や、不特定多数が利用する場合の理学療法室設営の課題が明らかになり、今後、同様のケースの参考になることを多く得られた。<BR>