著者
杉浦 徹 櫻井 宏明 杉浦 令人 岩田 研二 木村 圭佑 坂本 己津恵 松本 隆史 金田 嘉清
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.623-626, 2013 (Released:2013-11-09)
参考文献数
19
被引用文献数
5 3

〔目的〕回復期リハビリテーション病棟における超高齢脳卒中患者の自宅退院に必要なADL条件を検討すること.〔対象〕85歳以上の脳卒中患者で,転帰先が自宅もしくは施設または療養病床である71名とした.〔方法〕自宅群(41名)と施設群(30名)の2群に分類し,これらの間で患者の基本的特性,退院時FIM得点を比較した.また,有意差の認められたFIM各合計点では,ロジスティック回帰分析とROC曲線からカットオフ値を算出した.〔結果〕自宅群と施設群の間で,年齢,発症から回復期入院までの期間,移動手段に有意な差が認められ,カットオフ値はFIM運動項目合計点で39点となった.〔結語〕新たなADL条件として,退院時FIM運動項目合計点が39点以下の場合,超高齢脳卒中患者の自宅退院は困難となる可能性がある.
著者
杉浦 徹 櫻井 宏明 杉浦 令人 岩田 研二 木村 圭佑 坂本 己津恵 松本 隆史 金田 嘉清
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.779-783, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

〔目的〕回復期リハビリテーション病棟退院時に移動手段が車椅子となった脳卒中患者に求められる自宅復帰条件を検討すること.〔対象〕移動手段が車椅子の脳卒中患者で,転帰先が自宅もしくは施設・療養病床となった68名とした.〔方法〕自宅群(28名)と施設群(40名)を群間比較し,ロジスティック回帰分析にて転帰先因子を抽出した.また,入院時に家族が想定した転帰先と実際の転帰先の関係を分析した.〔結果〕ロジスティック回帰分析では「食事」と「トイレ動作」が転帰先因子として抽出された.また,入院時の転帰先意向は最終的な転帰先に反映される傾向がみられた.〔結語〕移動手段が車椅子での自宅復帰条件には「食事」と「トイレ動作」が求められ,患者の家族とは入院当初から自宅復帰に向けた展望の共有が重要となる.
著者
杉浦 令人 畠中 泰彦 荒井 友章 櫻井 宏明 金田 嘉清
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.225-228, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
7
被引用文献数
4 1

〔目的〕膝関節伸展の等張性収縮における力─速度の関係の立証や等尺性最大トルクを推定する上で,人体にとって計測の安全性を担保するための適切な負荷を検討した.〔対象〕20~30代の健常男性6名とした.〔方法〕ハイスピードビデオカメラで撮影した映像を動画編集ソフトウェアにて連続静止画へ変換し,画像計測ソフトウェアの角度ツールを用いて角速度,関節角度を求めた.最小負荷では20%,30%,40%1RM,最大負荷では100%,130%,150%,160%1RMにおける角速度を比較した.〔結果〕最小負荷では3条件に有意差はなく,最大負荷では150%と160%の間以外に有意差があった.〔結語〕最小負荷は40%,最大負荷は150%が適切な負荷であると考えられた.
著者
杉浦 令人 和田 邦孝 荒井 友章 山本 圭一 前田 則弘 田村 亮介 土屋 裕規 杉浦 徹 和田 弘
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.584-588, 2017-10-25 (Released:2017-12-07)
参考文献数
5

当法人では“介護の標準化”を図る事を目的に介護士育成のための客観的介護技術評価ツールの開発に着手した.今回,介護部役職者に研修および試験を実施し,評価シートの信頼性を分析した.検者間の相対信頼性は,食事でICC:0.797,排泄でICC:0.952であった.また,より詳細な検証が可能になる一般化可能性理論を用いた結果として,一般化可能性係数は,食事:0.466,排泄:0.743であり,食事よりも排泄で高い信頼性が示された.
著者
杉浦 令人 鈴木 美保 村田 元徳 亀頭 千鶴 江島 幸子 小野 早智子 佐藤 ゆかり 花輪 千草
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.C0162, 2006

【目的】脳卒中後遺症患者の大腿骨頚部骨折の発生率は、一般高齢者にくらべ4から12倍といわれている。大腿骨頚部骨折後のリハビリ訓練においても、脳卒中後遺症が阻害因子となり、骨折前の状態に復帰するまでに長期間かかる傾向にある。今回、当院回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期病棟)における脳卒中後の大腿骨頚部骨折患者の特徴を調査し、脳卒中後の大腿骨頚部骨折リハビリ訓練の強化点を検討したので報告する。<BR><BR>【対象】2003.4.1から2005.8.31までに、当院回復期病棟入院の大腿骨頚部骨折患者で、脳卒中既往のある37例(以下、脳卒中群)中、脳卒中に対しても当院でリハビリを行った7例を対象に、詳細な調査・検討を行った。年齢は平均73.7±9.4歳、全員女性、脳梗塞6例、くも膜下出血1例であった。また、この期間内に当院回復期病棟に入院した脳卒中の既往のない大腿骨頚部骨折患者は13例(以下、既往なし群)であった。<BR><BR>【方法】当院データベースをもとに、大腿骨頚部骨折の受傷側、受傷事由、入院期間、麻痺側運動機能変化、関節可動域変化、ADL変化、歩行率、歩行速度などについて調査した。また、脳卒中退院時評価と、大腿骨頚部骨折退院時評価の比較もおこなった。麻痺側運動機能はBrunnstrom Recovery Stage(以下、BRS)、関節可動域はRange Of Motion(以下、ROM)、ADLはFunctional Independence Measure(以下、FIM)にて評価した。<BR><BR>【結果】7例について受傷側は7例とも麻痺側、受傷事由はトイレへの歩行移動時での転倒6例、ベッドからの転落1例、入院期間101.1±51.0日、BRS下肢II:1例、III:3例、IV:1例、V:1例、VI:1例、ROM膝関節伸展脳卒中退院時0°:7例、頚部骨折退院時0°:2例、-5°:2例、-10°:3例、FIM運動合計脳卒中退院時71.7±5.4点、頚部骨折退院時72.3±8.5点、認知合計脳卒中退院時31.9±3.8点、頚部骨折退院時31.4±3.2点、歩行率脳卒中退院時60.424.2step/min、頚部骨折退院時43.3±15.2 step/min、歩行速度脳卒中退院時13.6±8.2m/min、頚部骨折退院時8.9±2.7 m/minであった。脳卒中群と既往なし群の比較では、入院期間は脳卒中群86.3±41.0日、既往なし群67.8±40.6日であり脳卒中群が18.5日長かった。FIMは、運動合計入院時:脳卒中群55.9±17.2点、既往なし群58.3±24.1点、退院時:脳卒中群68.3±16.1点、既往なし群71.1±21.8点であった。<BR> <BR>【考察】受傷側は、7例では100%麻痺側、脳卒中群全体でも92%であり、諸家の報告どおりであった。女性が多いのは、骨粗鬆症の関与も考えられるが、受傷事由も考え合わせると、介護者への遠慮により能力以上の行動をしがちな状況の可能性がある。今回の調査から、脳卒中後の大腿骨頚部骨におけるリハビリの強化点としては、不十分な関節可動域および効率の悪い歩行・歩容の改善が挙げられた。また、家屋改修や介護指導も、再度評価しなおす必要があると思われた。 <BR><BR>
著者
杉浦 令人 和田 弘 櫻井 宏明 鬼頭 良介 合川 善浩 齋藤 有紀 角田 利彦 本谷 郁雄 朴 英浩 田村 亮介 緒方 真己 川原 有貴子 金田 嘉清
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E3P1196, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】平成18年4月に介護保険法が改正された.中でも転倒予防への取り組みは重視されており全国2/3の自治体が地域高齢者を対象に転倒予防教室を実施している.しかし、それらの活動の効果は立証されておらず、さらに要介護高齢者の転倒予防効果はほとんど報告されていない.そこで、本研究の目的は要介護高齢者が行える『安全・楽しく・長く』を念頭に構成した集団リズム運動が心身機能にどのような効果をもたらすのかを検証することである.【対象】M県の通所サービスを利用している要支援1~要介護2の19名(平均年齢/79.9±7.0歳、男:女/7:12)を対象とした.次の項目の該当者は対象外とした.(1)独歩不可能(2)運動の説明が理解困難な認知症を有す(3)急速に進行中の進行性疾患、急性疾患や不安定な慢性疾患、6ヶ月以内の心筋梗塞や下肢骨折(4)ADLで介助を有す方である.対象者を無作為に2群に割付け、個別運動と集団リズム運動を行う群を介入群、個別運動のみを行う群を対照群とした.【方法】介入前と6週後に身長、体重、BMI、握力、膝伸展筋力、坐位体前屈、開眼片脚立位、Functional Reach Test(以下FRT)、Timed Up & Go Test、歩行能力、Profile of Mood States(以下POMS)、Falls Efficacy Scale(以下FES)の測定を行った.個別運動は中川らが考案した運動を採用した.体力測定の結果を基に5~6種類の運動を選択し個別プログラムを作成した.回数は運動毎に8~10回×2~3セット、頻度は週5回、期間は6週間とした.集団リズム運動は第1~3ステージより構成され、全て音楽に合わせて行った.第1ステージでは足踏み、支持面固定での重心移動、スクワット等を行った.第2ステージでは歌詞に合わせ運動を行った.第3ステージでは『1・2・3』と足踏みをし『3』の時、一歩足を出し、それを前後左右へと繰り返した.両運動の強度はBorgScale12~13とし微調整は重錘ベルトにて行った.各群の効果判定として介入前後における体力測定の結果を比較した.介入前後の両群間の比較、さらには体力測定の各項目において変化量を介入前の値で除した値を両群ともに算出しその割合を比較した.尚、本研究は当法人倫理審査委員会の承認を得た.【結果】各群の介入前後を比較したところ介入群では坐位体前屈、FRT、最大歩行速度にて有意な向上が認められた(p<0.05).FESでは有意差は認められなかったが向上傾向を示した.対照群では膝伸展筋力、POMS(T-A)にて有意な向上・改善が認められた(p<0.01).両群間の比較では介入前後ともにFRTにて有意差が認められた(p<0.01).両群間の変化量の比較では有意差は認められなかった.【考察】6週間の短期介入にて介入群では柔軟性、バランス、歩行能力の向上が認められ、また転倒恐怖心が減少傾向を示した.よって、今回提案した集団リズム運動は転倒予防への可能性が示唆された.対照群では下肢筋力の向上が認められ個別プログラムの有用性を再認識した.