著者
角谷 秀典 始関 吉生 小竹 忠 高原 正信 島崎 淳
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.1091-1096, 1991-07-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
15

内分泌異常による性機能障害19例について臨床的検討をおこなた. 性腺機能低下症によるものは, 低ゴナドトロピン性13例, 高ゴナドトロピン性3例の16例であり, 高プロラクチン血症6例 (うち3例は, 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症合併) であった. 主訴は, 性欲低下11例, 勃起不全12例, 射精障害14例であった. 性腺機能低下症では射精の障害されている例が多く, 一方高プロラクチン血症では射精の保たれているものが比較的多かった. 性腺不全症における血清テストステロン値は200ng/dl以下であり, 100ng/dl以下になると, 性欲低下を高率にみとめ, 勃起は保たれている例をみたが, 1例を除く全例で射精障害をみた. 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症例のゴナドトロピン療法の効果は, hCG負荷試験の反応良好なもの, 精巣容積の保たれている例では, 良好であった.
著者
佐藤 信夫 角谷 秀典 井坂 茂夫 島崎 淳 松嵜 理
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.8, pp.1263-1269, 1992-08-20
被引用文献数
5 1

1975年から1988年の間に千葉大学医学部泌尿器科でTURを施行した表在性膀胱移行上皮癌(Ta,T1かつG1,G2)159例を対象として,進展を予測する因子につき検討した. 臨床所見:年齢,性,主訴:症状発現から受診までの期間,検査所見:ESR,CRP,貧血,内視鏡所見:腫瘍の位置,数,大きさ,形態,病理組織学的所見:異型度,深達度,尿細胞診,ABH血液型抗原(ABH),Thomsen-Friedenreich抗原(T-ag)につき検討した.進展と有意に相関したのは高年齢,多発,広基性腫瘍,G2,T1,陽性尿細胞診,ABH陰性,T-ag異常であった. 多変量解析法で分析すると,進展に影響をおよぼす因子の重要度はABH,深達度,T-ag,形態,異型度,年齢,数の順であり,ABH,深達度,T-ag,形態の4因子が有意に高かった.さらにABH,T-agは他の臨床病理学的因子と相関せず,表在性膀胱腫瘍の進展の予知因子として有用であると考えられた.