著者
森 真由美 湧川 佳幸 矢坂 正弘 安森 弘太郎 詠田 眞治 岡田 靖
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-9, 2014-01-01 (Released:2014-01-15)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

脳動脈解離にともなう急性期脳梗塞における神経症候急性増悪例の特徴を検討した.急性期脳梗塞連続1,112例のうち,脳動脈解離にともなう脳梗塞は18例(1.6%)だった.平均年齢52歳,男性83%で,後方循環系解離が72%を占めた.発症30日以内の神経症候増悪例は4例(22%)で,すべて発症3日以内にみられ,入院時血圧が高値であり,優位側椎骨動脈や脳底動脈の解離をきたしていた.瘤形成症例を除いて積極的な抗凝固療法をおこなったが出血性合併症はみられなかった.増悪例の転帰は有意に不良であった.優位側椎骨動脈または脳底動脈解離による脳梗塞で,入院時血圧が高値である症例は,発症3日間はとくに注意深く観察する必要がある.