- 著者
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寺下 正道
庄野 庸雄
陳 克恭
北村 知昭
農蘇 千絵
諸冨 孝彦
矢野 淳也
河野 直博
- 出版者
- 九州歯科学会
- 雑誌
- 九州歯科学会雑誌 (ISSN:03686833)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.6, pp.236-242, 2002
- 参考文献数
- 10
ハイドロキシアパタイト(HAP)を種々のフッ素濃度の溶液と反応させると, より耐酸性のフルオロアパタイト(FAP)やフッ化カルシウム(CaF_2)が生成される.CaF_2よりFAPの方がより安定した結晶構造を有し, 耐酸性を獲得するにはより有効である.HAPからFAPを生成させる至適フッ素濃度を求めるためにHAPから生成したFAPの量を測定することが必要である.この方法として現在用いられている電子スピン共鳴により測定する方法(ESR法)と1M KOHによりCaF_2を溶出させる方法(KOH法)とを比較した.ESR法ではフッ素濃度100 ppm以下の時にFAPの生成が最大を示し, 浸漬した溶液のフッ素濃度を増大させるにつれてCaF_2の生成が多くなり, FAP生成が抑制された.これは, X線回折による定性結果と一致していた.一方, KOH法では, フッ素濃度の増大とともにFAPの生成も増大するという結果が得られ, X線回折による定性結果とは異なっていた.以上の結果から, HAPから生成するFAPを定量する方法としてESR法の方がKOH法より有効であることが明らかとなった.